旧友をプロジェクトの”右腕”に 三田理化工業では業務委託など検討
事業承継の前後で旧友に入社してもらうべきか否か。病院向けの機器や消耗品事業を手がける「三田理化工業」(大阪市)の婿後継ぎ、千種純専務は組織改革プロジェクトに取り組むパートナーとして、高校の同級生に業務委託などの形で伴走してもらえないか考えているそうです。
事業承継の前後で旧友に入社してもらうべきか否か。病院向けの機器や消耗品事業を手がける「三田理化工業」(大阪市)の婿後継ぎ、千種純専務は組織改革プロジェクトに取り組むパートナーとして、高校の同級生に業務委託などの形で伴走してもらえないか考えているそうです。
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事業承継の前後で旧友に入社してもらうべきか否か。そんな投稿に対し、千種さんは業務委託などの形で社外から支援してもらう形を考えていることを明らかにしました。
千種さんは「私が感じている課題の一つが、承継後の組織・人事制度の再構築です。管理職とプレーヤーの区分けや、より社員がアクティブに異動できる社内公募制度など、やりたいことはあるのですが、組織の全体像を見ずに一つの仕組みだけ変えてしまうと悪い方向に進むかも知れません。そこで、人事面に長けた人材と議論しながら進めたいと考えていました」と話しています。
そのときに顔が浮かんだのが、旧友だったといいます。千種さんが、この旧友を選んだ理由はおもに4つあるといいます。
そこで、千種さんに詳しく話を聞くことにしました。
―旧友に声をかけた理由は?
今回、声をかけた高校の同級生はトヨタに入社し、現在は転職していますが、グロービス経営大学院でMBAも取得しています。以前話をしていて人事のプロになりたい、という話を聞いたことがありました。
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そこで、まずはトヨタなどの制度や仕組みを教えて欲しい、と声をかけました。話が進めば、いずれ組織改革プロジェクトに参画しないか、とオファーしようと考えていました。
しかし、最初の時点で、彼の方から「もしよければ長期的に携わらせてほしい」と返答があったので、こちらからもその方向で進めたい、と回答しました。
―業務委託契約等、組織外から支援してもらう形で提案したのはなぜですか?
承継後の組織の制度改革、たとえば、マネジメントの役割明確化や、社員の力がより発揮できる人事制度など、社内の組織構造を変えたいと考えています。
彼には、現状の組織の把握と私が作りたい組織を理解してもらい、どのような組織体制を作るか、どのように実行するかを提案して欲しいと思っています。
やりたいことはプロジェクトであるため、無期雇用よりも期限があるほうが参画してもらいやすいです。また、対等な形でスキルを発揮してもらいたいので、その能力に対して報酬が出せる業務委託契約の方があっていると感じます。
彼がやりたいこと(人事のプロ)を知っているので、社員や役員として入社してもらうことは彼の人生に合っていないな、とも感じています。
―今後の友人関係をどのようになると思いますか?
これまで数年に一度、連絡を取るような形で関係を続けてきました。私としては、この機会に良き仕事の相談相手として、長くお付き合いができる関係が構築できれば良いな、と考えています。
もちろん、うまくいかなければそこで友人関係は終わりになってしまうかもしれません。その覚悟の上で相談を持ちかけました。
ここまで千種さんのインタビューを紹介してきました。事業承継の前後で旧友に入社してもらうべきか否かについては、現職よりも給与が下がってしまうことを理由に、誘うのをためらうという意見もありますが、三田理化工業のようにまずは副業などの形で関わってもらうというのも一つの手段なのかもしれません。
ただし、「友情は友情のままが絶対に良い!」と断られたことや、「ちょっと気心の知れた友人は誘いますが、優秀すぎる親友は誘えません」という意見もありました。
どんな契約形態であろうとも仕事が関係すると、今までと同じ関係ではいられなくなるかもしれません。千種さんの旧友は、千種さんの妻とも仲が良いそうで、いろいろ悩んだ上での結論なのだろうと思います。
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