展示会に出展してみたら 「GOOD LIFE フェア」の舞台裏
東京ビッグサイトで9月に開かれた展示会「GOOD LIFE フェア」(朝日新聞社主催)にツギノジダイ編集部もブースを出し、出展者を招いたトークセッションなどを企画しました。編集部初のリアルイベントの模様を振り返りながら、展示会出展に興味がある読者の皆様にブース運営の舞台裏をお届けします。
東京ビッグサイトで9月に開かれた展示会「GOOD LIFE フェア」(朝日新聞社主催)にツギノジダイ編集部もブースを出し、出展者を招いたトークセッションなどを企画しました。編集部初のリアルイベントの模様を振り返りながら、展示会出展に興味がある読者の皆様にブース運営の舞台裏をお届けします。
目次
今回が初開催となる「GOOD LIFE フェア」は、9月23~25日の3日間で約1万9千人が来場。持続可能な開発目標(SDGs)を意識した食品やインテリア、雑貨などが軒を連ね、クラフトビールや昆虫食を楽しめるブースも用意されるなど、家族連れの姿が目立ちました。
ツギノジダイの出展目的は、会場を訪れる中小企業の経営者や関係者に向けてサイトの認知度を高めることです。とはいえ、編集部メンバーは新聞記者や新聞営業の出身で、展示会出展の経験は皆無。展示会営業コンサルタントの清永健一さんのサポートを受けながら、約3カ月準備を進めました。
編集部のブースのサイズは約3メートル四方。オープンな雰囲気をつくるため、あえてパラペット(上部の看板)は外し、壁面に大きな幕をぶら下げて、サイトのコンセプトや来場者特典の内容を前面に出しました。
ウェブメディアのツギノジダイは他の企業ブースと違い、来場者に味わってもらったり、手に取ってもらったりする商材やサービスはありません。同じ朝日新聞社でも、おせちのだて巻きや黒豆の試食を行っていた、向かい側の「朝日新聞モール」のブースに比べれば、その差は歴然です。
そこで少しでもブースに足を止めてもらうため、清永さんの提案も参考に、ブース内をカフェテラス風に設計して、次の3つの来場者特典を用意しました。
「GOOD LIFE フェア」は台風15号が迫る中で開幕。それでも大勢の人たちが会場に入ってきました。しかし、ここからがツギノジダイ編集部の悪戦苦闘の始まりでした。
↓ここから続き
編集部のメンバーは3日間、交代でブースの前に立ち、来場者に「朝日新聞の中小企業向けメディア・ツギノジダイです」などと、声をかけ続けました。捨てられやすいチラシはあえて配らず、編集部メンバーのプロフィルやサイトの紹介などを記したオリジナル名刺を渡しました。
企業のプロモーション戦略に役立ててもらおうと用意したのが、小冊子「取材されるための5つのポイント」です。新聞記者歴10年超の編集者が自身の取材経験や、これまでツギノジダイで取り上げた経営者インタビューをもとに、取材が増えるためのコツをまとめた資料になります。
ツギノジダイブースで来場者情報を登録していただいた方に、この小冊子をプレゼントしました。
編集部は最初、通りかかった来場者にひたすら声をかけ続けました。しかし、反応は芳しくありません。通常の展示会は平日、企業のバイヤーなど「toB向け」に開かれるのが主流です。しかし、「GOOD LIFE フェア」は3連休中に開かれ、サステイナブルな商品をPRして販売する、一般消費者向けの展示会です。
最初から苦戦は覚悟していましたが、小さなお子さんを連れた家族など「仕事モード」ではない来場者に、ツギノジダイに興味を持っていただくのは想像以上に大変でした。
流れが変わったのは、台風最接近で少し来場者が落ち着いた2日目です。来場者の服装をよく見ると、スーツを着たりジャケットを羽織ったりして、1~2人で歩いている方も一定の割合でいました。
ブースの規模も編集部スタッフの人数も限られています。積極的に声をかけたり名刺を渡したりする重点対象を、仕事の情報収集などで来ている可能性の高い来場者に定めると、名刺や小冊子を受け取ってくださる方の確率がじわじわ上がりました。
中には「ベンチャー企業の広報を務めているので小冊子を参考にします」、「友人の経営者がPRに悩んでいるので小冊子を渡します」、「小さな製造業を営んでいるので助かります」という反応もあり、編集部のモチベーションは高まりました。
出展準備を進めるときに、清永さんからは「一つのブースで狙えるターゲットは1種類。PRする商品・サービスも1アイテム」と助言されました。それは、展示会本番でPRしたい相手を探すときも一緒だと実感しました。
編集部のスタッフがオペレーションに慣れたこともあり、最終日になると、小冊子を受け取ってくれる人の割合は右肩上がりになりました。
ブース内にはテーブルとマイク、スピーカーなどを設置し、「GOOD LIFE フェア」に出展している中小企業・団体の代表を招いたトークセッションを開催。展示している商品の開発秘話やプロモーション戦略などをテーマに、公開インタビューしました(トークセッションの模様はツギノジダイの記事や公式ユーチューブでお届けします)。
セッションは3日間で計6回開催。トークが白熱している間は、ブース前で足を止める来場者も増え、中にはブース内のいすに腰掛けて聴き入る人もいました。
ここでも反省点はありました。初日のセッション開催中はブース前でのPRが不足していました。来場者の立場で見れば、トークの内容が気になって足を止めても、どんな出展者が何について語っているのかが分からなかったのです。
2日目からは出展者にも協力をいただき、サステイナブルな商品やPR資料をブース前のテーブルに置いて、実際に手にとってもらいました。ブースに設置したモニターでも写真などを使って、どんな出展者が話しているのか一目で伝わるようにしました。
トークセッションを重ねるたび、足を止めたり視線を送ったりする来場者は増えたように感じます。出展者からも「トークセッションを聞いて(出展者の)ブースに来てくれた方がいました」という声をいただきました。
来場者特典としてブース内で企画したプレスリリース相談会には、3人が訪れました。
立て看板などの製造・販売を手がける常磐精工(堺市)3代目の喜井翔太郎さんは、「プレスリリースの書き方を基礎から教えてほしい」というリクエストがありました。
福祉施設向けのITサービスを開発するプロテック(札幌市)取締役の小松まいさんは、これまでに発行した自社のプレスリリースを持参。改善点などについて尋ねました。
梶原博多人形工房(福岡市)で職人として修業を積む田代智香さんも、伝統の博多人形を広げるための発信の仕方に課題を感じていたそうです。
企業の内部情報を含むため、相談内容の詳細は省きますが、相談に乗った編集部のメンバーから「届ける対象によってプレスリリースの内容を書き分ける」、「法改正などタイムリーな話題をリリースに盛り込む」などとアドバイスしました。
「GOOD LIFE フェア」はツギノジダイとしても、初のリアルイベントとなりました。会場では後継ぎの皆様とのうれしい出会いもありました。
アパレルメーカー・双葉商事の4代目で、カポックという木の実を使ったサステイナブルなアパレルブランドも展開するカポックジャパンCEOの深井喜翔さんは初日に、「GOOD LIFE フェア」のセミナーに登壇しました(セミナーの模様は後日詳報します)。
登壇後はカポックのコートやジャケットを持って、ツギノジダイのブースを訪れ、来場者の輪ができました。
ツギノジダイの後継ぎ交流グループ「ツギノバディ」のメンバーも、ブースを訪ねました。
プラント建設を手がけるツルヤマテクノス(千葉県市原市)取締役の鶴山智博さん、自動車整備会社・京南オートサービス(東京都多摩市)社長の田澤孝雄さん(2代目お坊ちゃん社長の会代表理事)に、激励していただきました。
コロナ禍でのサイト開設から約2年半。ようやく訪れた後継ぎ経営者とのリアル交流の機会に、胸が熱くなりました。
3日間で来場者数の1.6%にあたる約300人が、ツギノジダイブースで来場者情報を登録していただきました。当初見込んでいた数字と大きなずれはありませんでした。様々な方のサポートをいただき、初出展ということを考えれば、一定の成果を出せたと思います。
一方、改善点はたくさん浮き彫りになりました。一番大きな点は、来場者に声をかけなくても自然に足を止めてもらうための工夫が足りなかったことです。
実際、2日目から急きょトークセッション出演者の商品をテーブルに置くと、足を止めてくれる人が増えました。
ツギノジダイでも「GOOD LIFE フェア」の趣旨に沿うサステイナブルな商品を取り扱っている経営者の話題は、数多く掲載しています。例えば、記事で取り上げた商品を取り寄せて手に取ってもらうだけでも、反応は違ったと思います。
また、トークセッションとプレスリリース相談会の時間帯以外、開催期間の半分ほどはブース内ががら空きでした。その時間帯はブース前で声をかけても反応が薄く、開催期間中はブース内を常にアクティブにしておく必要を感じました。
このほか編集部のメンバーからは次のような意見も出ました。
「GOOD LIFE フェア」は2023年9月1~3日、東京ビッグサイトで開催することが決まりました。
ツギノジダイが次回も出展するかは未定ですが、今回の教訓を生かし、今後も展示会出展やリアルイベントの開催などを通じて、中小企業の皆様と直接コミュニケーションを深める機会を増せたらと考えています。
今回お伝えした展示会出展の舞台裏が、出展を考えている読者の皆様の参考になれば幸いです。
出展の舞台裏はPodcast番組でも語っています。ぜひお聴き下さい。
(続きは会員登録で読めます)
ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。
ウクライナの食品が注目を集めていた「地域資源活用の会」のブース
家族連れなどでにぎわう「GOOD LIFE フェア」の会場
試飲などでにぎわった、クラフトコーラのエリア
家族連れなどでにぎわう「GOOD LIFE フェア」の会場
家族連れなどでにぎわう「GOOD LIFE フェア」の会場
家族連れなどでにぎわう「GOOD LIFE フェア」の会場
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。