サクマ式ドロップスの佐久間製菓、2023年1月廃業へ
映画「火垂るの墓」にも登場し、サクマ式ドロップスで知られる「佐久間製菓」(東京都豊島区)が2023年1月20日に廃業すると関係先に通知したことが取材でわかりました。東京商工リサーチも同社担当者に廃業予定であることを確認したと発表しました。
映画「火垂るの墓」にも登場し、サクマ式ドロップスで知られる「佐久間製菓」(東京都豊島区)が2023年1月20日に廃業すると関係先に通知したことが取材でわかりました。東京商工リサーチも同社担当者に廃業予定であることを確認したと発表しました。
佐久間製菓の公式サイトによると、サクマ式ドロップスは、創業者の佐久間惣治郎氏が英国より輸入されていたドロップを自分の手で作ろうと考え、明治41年(1908年)に完成させたドロップです。
戦時中に廃業しますが、故・横倉信之助氏が1948年に東京・池袋に再興したのが佐久間製菓です。独自の製法は「サクマ式製法」と呼ばれ、特許庁よりサクマ式ドロップスの登録商標が認められています。
1988年のアニメ映画「火垂るの墓」では、主人公・清太の妹である節子が大切にしているお菓子としてサクマ式ドロップスが描かれています。佐久間製菓は、アニメ映画「火垂るの墓」での登場をきっかけに復刻版を発売したほか、2007年には実写映画「火垂るの墓」にも参画していました。
114周年を迎えるにあたり、横倉信夫社長は公式サイト上で次のようにコメントしていました。
ドロップ、キャンデー、チョコレート、ビスケットが珍しいとされてきた時代、日本の食文化に馴染んできた時代、簡単には手に入らなくなった時代を経て、私達は今日の豊かな時代に生活しています。
一つの商品が、その時々の人々にどのように思われたかを想像しますと、改めて114年という年月の重みを感じます。
社会や価値観が変わり行く中、変わらないスタイルを保ち続けたサクマ式ドロップス。お菓子が誰でも食べられる平和で豊かな社会となった今日まで、ご愛用頂いた沢山の皆様とともに存在し続けています。
しかし、2022年11月に入り、佐久間製菓が廃業する方針が明らかになりました。東京商工リサーチは公式サイトの記事で、佐久間製菓の廃業理由について次のように説明しています。
「廃業のお知らせ」によると、廃業日は2023年1月20日。廃業の理由は、新型コロナの影響による販売減や原材料、エネルギー価格の高騰、人員確保の問題などあげている。
東京商工リサーチ
「サクマドロップス」で知られるサクマ製菓(東京都目黒区)は別会社で、営業を継続しています。ルーツは佐久間製菓と同じですが、創業家の山田隆重氏が復興させたのがサクマ製菓です。近年では人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボでも注目されました。
サクマ式ドロップ
サクマ式ドロップのアニメ映画「火垂るの墓」登場記念缶
サクマ式ドロップ(復刻版)
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。