廃業のツイートがTwitterのトレンドに

 ツギノジダイにも全国の老舗の訪問記を寄稿している老舗食堂が、アメハマ製菓の廃業を伝えたのは、2021年2月16日でした。

 この投稿に対し、廃業を惜しむ声が相次ぎました。

 一方で「いちごみるく」のキャンディをつくっている「サクマ製菓」(本社・東京都目黒区)は別の会社で、今後も製造を続けていくことをツイートしています。

アメハマ製菓が伝えた廃業の理由

 アメハマ製菓は2021年1月29日に、創業111年の歴史を持つ製菓製造販売事業を4月末で廃業することを会社サイトで公表しました。廃業理由として次の7つを紹介しています。

  1. 世界各地では、コロナウイルスによる未曽有の災難が発生し、今後はより厳しい経営環境になることは明らかであること
  2. 高コスト体質の生産体制を続けてしまったこと
  3. 製品も競争激化の波にさらされる中、製品の多様化に追いつけなかったこと
  4. 旧来の取引条件や売価の抑制という大きな壁に阻まれてしまい納品価格の交渉が難しいこと
  5. 原材料費が上昇していること
  6. 旧来的な製造方法と市場売価による収益構造が成立していないこと
  7. 設備が老朽化しており、新規設備投資が必須なこと
アメハマ製菓のキャンディ(写真は、老舗食堂提供)

 そのうえで、このように続けました。

予てより、様々な経営課題に関する対処について検討し、進むべき道を模索しておりましたが、いつ終息するとも知れないコロナウイルスの影響は計り知れないと認識しており、これ以上の経営継続は困難であるとの結論となり、事業の廃業という決断に至りました。

アメハマ製菓

倒産は減っているのに、廃業が増える理由とは

 東京商工リサーチによると、2020年の企業倒産はコロナ禍での政府などの資金繰り支援策が奏功し、7773件と前年よりも7.2%減となりました。
 その一方で、2020年に全国で休廃業・解散した企業は、4万9698件と前年より14.6%増となり、2000年に調査を開始して以降で、最多を記録しました。

休廃業・解散企業の推移

 資金繰り支援で倒産の増加を食い止められたのと対照的に、休廃業が増えた理由として、東京商工リサーチは「資金繰り支援では、中長期的な事業の持続可能性の改善には直結せず、先行きを見通せず事業をたたむ『あきらめ型』休廃業を回避できていない」とみています。

 そのうえで次のように提言しています。

 事業承継への取り組みは重要だが、すべての企業の承継ニーズを満たすことは難しい。これまで政府は、再チャレンジ支援の一環として廃業支援にも取り組むが、休廃業企業の84.2%の代表者が60歳以上の現実にも目を向けることが必要だ。  中小企業は、代表者とオーナーが同一のケースが多く、廃業の決断は「社長次第」といえる。それだけに廃業後の「経営者の生活保障」の重要性が高まっている。コロナ禍で膨らんだ債務への対応を含め、経済政策と社会福祉を絡めた議論が必要になっている。

東京商工リサーチ 2020年「休廃業・解散企業」動向調査