目次

  1. 「大阪紙工」から「シコー」に社名変更
  2. 段ボールからシェア奪った会長の着眼点
  3. 「努力する人にチャンス」実感した留学
  4. 若手に本来業務以外も任せる理由
  5. ツイートに2.5万いいね、催事出店へ
  6. ワークショップで得た学びと発見
  7. 「かっこええ社長」になるために

 シコーは、業務用の原料や資材を入れる産業用包装容器(紙製やポリエチレン製の袋、プラスチック段ボールなど)を開発・製造するBtoBのメーカーです。袋に入れるものは、食品用の粉末状のスターチ(でんぷん)や工事現場で使う石灰など様々です。段ボール代わりに使えるような丈夫な紙袋のほか、内容物が漏れにくい、中の空気を逃がしやすいといった特徴を持つ袋も作っています。

 シコーの前身は、忠臣さんの曽祖父にあたる忠明さんが1912(大正元)年に設立した白石忠明商店です。個人事業として封筒や便箋(びんせん)を製造していました。戦後、忠明さんの長男である信明さんの勤め先(現在の住友化学)から、袋の製造を請け負うようになり、事業を拡大しました。1950(昭和25)年に株式会社化して大阪紙工となり、信明さんが初代社長に就きました。

 56歳で亡くなった信明さんの後を継ぎ、忠臣さんの父・忠信さん(71)が1981年、30歳で2代目社長に就きました。1987年、「大阪紙工」から「シコー」に社名変更。現在、グループ5社を含めた従業員数は約300人、売上高はグループ全体で約100億円です。

シコーが作っている様々な包装資材(シコーホームページより)

 シコーの発展に大きく寄与した一人が、30代で中途入社し、創業家以外で初の社長に就いた鈴木誠さん(69=現在は会長)です。

 シコーの顧客である化学メーカーなどは、袋に内容物を詰めるための自動包装機を工場に備えています。その自動包装機を製造する会社で働いていたのが鈴木さんでした。

 シコーに移った鈴木さんは、自身の古巣を含めた機械メーカーと積極的に情報交換すべきだと主張します。なぜなら、いくら顧客に営業をかけても、先方が自動包装機を持っていなければ受注できないからです。

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