目次

  1. ブランディングデザインの舞台裏
  2. 「脱下請け」を目指すデザイン
  3. ToC商品が生まれるまで
  4. 地方でデザイン経営支援

 ツギノジダイは22年12月、エイトブランディングデザイン代表・西澤明洋さんの協力で「後継ぎたちのブランディングデザイン」という連載を始めました。西澤さんが手がけたファミリービジネスのブランディングのプロセスを振り返り、経営者のインタビューとともにお届けしています。

 西澤さんはこれまで企業のブランド、商品、店舗開発など幅広いデザインを手がけ、主な仕事にクラフトビール「COEDO」、ヤマサ醤油「まる生ぽん酢」、ブランド買取「なんぼや」などがあります。

 連載第1回は北海道を中心に展開するドラッグストア「サツドラ」のブランディングの事例を取り上げました。同社は創業者の息子で2代目の富山浩樹さんが2015年に社長に就任。そのタイミングで一気に社名やブランドカラー、商品のリニューアルを一気に進めました。

サツドラはブランドカラーも赤から青に変えました(エイトブランディングデザイン提供)

 同社をデザインの視点でバックアップしたのが西澤さんです。「ブランディングは設備投資のようなもの」と強調する西澤さんに、サツドラ社員に参加してもらったワークショップの狙いや注意点、リブランディングに成功した理由などを語ってもらいました。

 連載は23年も、後継ぎ経営者が主導した企業ブランディングの舞台裏を掘り下げる予定です。

 ビジネスデザイナーでkenma代表の今井裕平さんも、22年1月から「後継ぎ世代の脱下請けとデザイン経営」という連載を始めました。

 今井さんは大手メディアなどで取り上げられた、筒状型スポンジタオルの「STTA」や、日本茶カフェが展開する茶葉入りの水出し緑茶「朝ボトル」のデザインを手がけています。

今井さんがデザインを手がけた筒状型スポンジタオルの「STTA」(今井さん提供)

 連載では「脱下請け」を目指す中小企業に向けて、売り上げや利益を生むフラッグシップ商品を生み出すプロセスについて、今井さんが手がけた具体的な事例をもとに紹介しています。

 これまで8回の連載では、STTAや朝ボトルのほか、リストバンド型ウェアラブルメモ「wemo」や、性差による働きにくさの解消を実現する新規事業「Fellne(フェルネ)」などをもとに掘り下げています。

 メーカーがToC向け商品を初めて企画して製造・販売するまでのプロセスを追いかけた連載「新商品のデザインが生まれるまで」が22年5月に完結しました。

 老舗缶メーカー「側島製罐」(愛知県大治町)から新商品のデザインが生まれる過程を、伴走してきたPLUG社長の小川亮さん自身の言葉で振り返ります。

 パッケージデザイン開発とマーケティングリサーチ・商品開発支援の専門家である小川さんは、20年から側島製罐の後継ぎ石川貴也さんとともに、新商品の開発を進めてきました。

側島製罐が発売した「Sotto」(Designed in Finland)

 約1年半の試行錯誤を経て、22年5月、子どもの思い出の品をしまう缶「Sotto」が生まれました。デザインは石川さんの妻の母国フィンランドがモチーフになっています。

 連載ではオリエンシート、企画段階のデザイン画、側島製罐の社員から出た異論など、普段の商品開発ではめったに表に出ることのない舞台裏について明かしています。これから新商品開発を考えている後継ぎ経営者に参考にしていただきたい企画です。

 ツギノジダイは、中小企業のデザイン経営を支援する企業ロフトワークとパートナーシップを結んでいます。同社が22年9月、福井県鯖江市で立ち上げたプログラム「Dcraft デザイン経営リーダーズゼミin関西」のキックオフの模様を、現地取材しました。

福井県鯖江市で開かれた「Dcraft デザイン経営リーダーズゼミin関西」の参加者たち

 同県内にある松川レピヤンとワカヤマという中小企業の後継ぎ経営者が参加。22年度末まで、専門家の協力を仰ぎながら、デザインの力を生かした経営課題の解決に取り組みます。

 ツギノジダイでは成果発表会の模様もお伝えする予定です。