目次

  1. ボンカレーとは 歴史を紹介
  2. 変わる調理法
  3. 味も時代に応じて変化
  4. 2月12日はボンカレーの日

 ボンカレーとは、1968年に発売開始された世界初の市販用レトルトカレーです。パッケージの顔は、テレビCMとホーロー看板でもおなじみの松山容子さん。

 松山さんは2014年の朝日新聞の記事で、当時のことを次のように振り返っていました。

依頼を受けた時、なんて便利な商品ができたんだろう、とびっくりしました。奇跡、魔法のようでした。一般家庭のお母さんのイメージにぴったりだと、私が選ばれたようです。

 松山容子さんパッケージのボンカレーは十数年前まで全国で販売されていましたが、三重丸がついたパッケージの「ボンカレーゴールド」の方が人気が出るようになり、いまでは沖縄限定となりました。ボンカレーのシリーズ商品のほとんどは今も徳島工場でつくられています。

 さて、ボンカレーの歴史を少しさかのぼってみましょう。

 大塚食品の公式サイトによると、1964年、関西でカレー粉や即席固形カレーを製造販売していた会社を、大塚グループが引き継いだのが大塚食品の始まりだといいます。

 米国のパッケージ専門誌に紹介されていた真空パックされていたソーセージをヒントに、「一人前入りで、お湯で温めるだけで食べられるカレー、誰でも失敗しないカレー」のコンセプトで開発がスタートしました。

 試行錯誤の末、1968年(昭和43年)2月12日、世界初の市販用レトルトカレーとして、阪神地区限定で「ボンカレー」を販売しました。点滴液を高温処理で殺菌する大塚グループの技術を応用することができたそうです。

 ただし、当初は、ポリエチレン/ポリエステルの2層構造の半透明パウチで、賞味期限は短く、商品の輸送中に破損するケースもありました。

 そこで包材メーカーと協力し、ポリエチレン/アルミ/ポリエステルの3層構造のパウチにすると長期保存が可能になりました。流通過程での破損も解決でき、1969年5月に「ボンカレー」は全国発売することができました。

 従来のボンカレーはお湯で温めて調理する湯せん方式でしたが、電子レンジが家庭に普及するなか、2003年に箱ごとレンジに入れて加熱するだけでも調理できる新しいレンジ対応パウチを採用しました。

 ボンカレーは時代の変化とともに味も変化していきました。代表的な変化は次の通りです。

1978年……香辛料やフルーツを多く使用
2001年……甘口・注から・辛口それぞれの辛さにあったオリジナルレシピへ
2003年……電子レンジの普及に合わせて箱ごとレンジ調理が可能に
2016年……国産食材のニーズが高まり具材を国産のじゃがいも・たまねぎ・にんじんへ

 1968年2月12日に、世界初の市販用レトルトカレー「ボンカレー」が発売されたことにちなみ、2月12日を「ボンカレーの日」「レトルトカレーの日」と定め、日本記念日協会にも登録されています。