「カルディコーヒーファーム」のキャメル珈琲に下請法違反 公取委が勧告
杉本崇
(最終更新:)
全国でコーヒーと輸入食品を取り扱う「カルディコーヒーファーム」を展開しているキャメル珈琲に対し、公正取引委員会は2023年3月17日、下請事業者に対し、下請事業者に責任がないのに減額及び返品を行い、また不当に金銭を提供させていたとして、下請法にもとづく勧告を出しました。減額、返品、利益提供要請で総額1366万円に上ると指摘しています。キャメル珈琲は「下請代金の減額及び提供された経済上の利益にあたるとされた金額につきましては、お取引先様に速やかに返還する手続きを進めております」とコメントしています。
下請法とは
公取委のパンフレット(PDF方式)などによると、下請法とは、下請け会社に対し、発注後に下請代金の額を減らしたり、協賛金・値引き・歩引き名目で発注後に一定金額を下請代金から差し引いたり、事務手続きの遅れなどから下請代金の支払日を遅らせたりすることを禁止する法律です。
正式には下請代金支払遅延等防止法といいます。親事業者が下請法に違反した場合には、公正取引委員会から、違反行為を取り止めるよう勧告されます。勧告されると、企業名、違反事実の概要などが公表されます。
「カルディコーヒーファーム」運営のキャメル珈琲の違反内容
公取委が、キャメル珈琲に対し、下請法違反と認定した事実は次の通りです。
キャメル珈琲は、2021年5月~2022年12月、オンラインストアで販売した商品の下請代金を下請事業者に支払う際に、「センターフィー」として下請代金の額から減じていました。減額した金額は、下請けの58事業者で総額748万4506円。
キャメル珈琲は、下請事業者から商品を受領後、品質検査を行っていないのに、商品に瑕疵として、2021年5月~2022年7月、商品を引き取らせていました。返品した商品の下請代金相当額は、下請け49事業者で総額305万3210円。
キャメル珈琲は、一部の下請事業者に返品に係る送料を負担させていました。
キャメル珈琲は、返品で生じる人件費や保管費等の諸経費の一部を確保するため、「契約不適合商品処理負担金」を提供させ、2021年5月~2022年7月、提供させた金額は、下請け46事業者で総額313万160円。
キャメル珈琲、コメントを発表
これに対し、キャメル珈琲は3月17日、公式サイトでコメントを発表しました。
本日の勧告において、下請代金の減額及び提供された経済上の利益にあたるとされた金額につきましては、お取引先様に速やかに返還する手続きを進めております。
弊社は、この度の勧告を真摯に受け止め、勧告内容を役員及び全従業員に周知徹底を図るとともに、下請法遵守に関する社内研修を実施する等必要な措置を講じ、再発防止に努める所存です。
キャメル珈琲公式サイト
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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