目次

  1. 下請法とは
  2. 2022年度の下請法上の「買いたたき」は913件
  3. 2023年の重点立入5業種

 公取委の公式サイトによると、下請法とは、下請け事業者の利益を保護するための法律です。発注側である親事業者の次のような行為を禁止しています。

  • 受領拒否…注文した物品等の受領を拒む
  • 下請代金の支払遅延…下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わない
  • 下請代金の減額…あらかじめ定めた下請代金を減額する
  • 返品…受け取った物を返品する
  • 買いたたき…類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定める
  • 購入・利用強制…親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させる
  • 報復措置…下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会または中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをする
  • 有償支給原材料等の対価の早期決済…有償で支給した原材料等の対価を,原材料などを用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりする
  • 割引困難な手形の交付…一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付する
  • 不当な経済上の利益の提供要請…下請事業者から金銭,労務の提供等をさせる不当な給付内容の変更及び不当なやり直し

 とくに原材料の高騰が続くなか、公取委は適正な価格転嫁の実現に向けて、重点的に「買いたたき」などについて調査してきました。

 2022年度に公取委が「買いたたき」があったとして指導・勧告したのは全業種で913件ありました。次の5業種では多くの事例が確認されました。

  • 金属製品製造業…79件
  • 生産用機械器具製造業…63件
  • 輸送用機械器具製造業…39件
  • 道路貨物運送業…173件
  • 情報サービス業…58件

 こうした状況から、公取委と中小企業庁は、下請法上の重点立入業種として、2022年度に選んだ道路貨物運送業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業、輸送用機械器具製造業の4業種に加え、2023年度はソフトウェア開発などの「情報サービス業」も新たに選定対象としました。

 公取委は「協議を経ない取引価格の据え置き等が認められた事案については、下請法上の勧告又は指導を迅速かつ積極的に実施する」と説明しています。