ノジマ、下請代金7310万円を不当に減額 公取委が下請法違反で勧告
杉本崇
(最終更新:)
店舗で販売する家庭電気製品などを製造委託している下請事業者2社に対し、「物流協力金」などの名目で代金7310万円を不当に減額していたとして、公正取引委員会は2023年6月29日、家電量販店のノジマに対し、下請代金の減額の禁止を定めた下請法に違反するとして再発防止などに取り組むよう勧告しました。ノジマは「勧告を真摯に受け止め、勧告内容の社内周知徹底を図るとともに、下請法遵守に関する社内研修を今後継続的に実施する」とコメントしています。
ノジマとは
ノジマ(本社:横浜市)は、1962年設立。関東地方を中心に、山梨・静岡・新潟3県にも店舗展開している。公式サイトで「メーカー販売員のいない唯一の家電量販店」を掲げ、顧客一人ひとりの好みに合わせた商品を提案する「コンサルティングセールス」を接客方針としています。
下請法とは
公取委のパンフレット(PDF方式)などによると、下請法とは、下請け会社に対し、発注後に下請代金の額を減らしたり、協賛金・値引き・歩引き名目で発注後に一定金額を下請代金から差し引いたり、事務手続きの遅れなどから下請代金の支払日を遅らせたりすることを禁止する法律です。
正式には下請代金支払遅延等防止法といいます。親事業者が下請法に違反した場合には、公正取引委員会から、違反行為を取り止めるよう勧告されます。勧告されると、企業名、違反事実の概要などが公表されます。
ノジマの下請法違反事実
公取委によると、ノジマは、自社の店舗で販売する家庭電気製品などの製造を委託している2社に対し、2019年7月~2022年10月、下請事業者に下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、以下の名目で下請代金の額を減じていたといいます。
- 拡売費
- 物流協力金
- セールリベート
- キャッシュリベート
- オープンセール助成
- 発注手数料
減額したと認定された金額は、総額7310万9046円に上ります。
ノジマがコメントを発表
これに対し、ノジマは公式サイトで、コメントを発表しました。
下請事業者様からの拡売費等の受け取りは既に停止しており、また、下請代金の減額とされた金額についても、すでに当該事業者様に返還しております。
当社は、今回の勧告を真摯に受け止め、勧告内容の社内周知徹底を図るとともに、下請法遵守に関する社内研修を今後継続的に実施することで、引き続きコンプライアンスの強化と再発防止の徹底に努めてまいります。
公正取引委員会からの下請代金支払遅延等防止法に関する勧告について(ノジマ公式サイト)
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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