【図解】ピボットテーブルの使い方 エクセル集計の基本から応用まで
ピボットテーブルは大量の業務データを一瞬で集計でき、経営判断に役立てることができます。仕組みがわかれば操作はとても簡単なため、マスターしておきたいExcel(エクセル)機能の一つです。この記事では、IT研修において20年以上の登壇経験を持つ、中小企業診断士・ITコーディネータが解説します。
ピボットテーブルは大量の業務データを一瞬で集計でき、経営判断に役立てることができます。仕組みがわかれば操作はとても簡単なため、マスターしておきたいExcel(エクセル)機能の一つです。この記事では、IT研修において20年以上の登壇経験を持つ、中小企業診断士・ITコーディネータが解説します。
目次
ピボットテーブルとは、Exce(エクセル)lに搭載されたデータ集計・分析ツールの一つです。ピボット(pivot)とは「回転軸」、テーブル(table)とは「表」を表す英単語で、大量のデータから自分が見たい項目を軸に、集計表を作成することができる機能です。
特に、二つの項目を同時に集計できる「クロス集計」を得意としています。例えば、POSレジで取得した日々の売上データから、月別×商品別の売上集計表を作成したいといった場合に便利です。
ピボットテーブルならば複雑な関数を組み合わせる必要もなく、マウス操作だけで簡単に自分が見たい表をつくることができます。
ピボットテーブルを使うには、まず集計の元となるデータが表で用意されている必要があります。その表を元にピボットテーブルをシート上に挿入し、集計したい項目を表の形になるようにマウスでドラッグしていくことで、集計結果を求めていきます。
ピボットテーブル機能を活用する際、最も大切なのがこの表の作成です。
基本でありますが、表の間に空行や空列があると、表の範囲を正しく読み込めなかったり、読み込んだ先で正しい集計ができなかったりする事象が発生します。
ピボットテーブルを利用するためには、縦横のデータがすべて埋まっている「きれいな表」を作成します。
そして、集計の元となるデータは、三つのルールに則った表の形に整えることが必要です。
ルールを順に確認していきましょう。
ルール1は、「項目名を1行目に入力する」です。項目名はフィールド名と呼ばれることもあります。
図1では、A列に「取引コード」、B列に「販売日」といった項目名が設定されており、その列に入力された値が何を示しているかがわかります。この項目名はピボットテーブルを作成する操作において重要な役割を担っているため、わかりやすい名前にすることがポイントです。
図1を見るとわかる通り、それぞれの列には同じ種類のデータが入力されています。ルール2では、この「縦方向(列)には同じ種類のデータを入力する」がポイントとなります。セルに入力できる値には、文字列と数値があり、数値の一種として日付がありますが、それらが一つの列のなかで混在してはいけません。
また、図2にあるように、作成された表の周囲に余計なデータがあると正しく範囲を読み込めない場合があります。対象となる表に隣接するセルには、何も入力しないようにしましょう。
ルール3は、「1件のデータを横1行に入力する」です。例えば項目数の多い表の場合、印刷をしたときに横幅を1枚に収めるために1件のデータを2行に分けてつくることがありますが、それでは集計の元データとして使用できません。
また、図2にあるように、別の行を補完する形で行を追加している場合にも、正しい結果を求めることができません。
表が作成できたら、以下の手順でピボットテーブルを挿入します。
そうすると新しいシートが挿入され、シート上に「ピボットテーブル」と表示された枠、画面右側には「ピボットテーブルのフィールド」作業ウィンドウが表示されます。作業ウィンドウには「フィールドリスト」と「ボックス」があります。
また、リボンには「ピボットテーブルの分析」「デザイン」の二つのタブが表示されます。ピボットテーブルの枠以外のセルを選択すると、それらの作業ウィンドウやタブは非表示になります。
いよいよピボットテーブルを作成していきます。
商品別売上集計をしたい場合を例に挙げて解説します。
続いて、「担当者名」フィールドを「列」ボックスにドラッグ&ドロップすると、クロス集計表が作成されます。
フィールドをドロップする順序には、特に決まりはありません。自分のわかりやすい手順でドロップしましょう。
集計が不要になったフィールドは、ボックスの外へドラッグして削除することができます。フィールドを次々と入れ替えながら、多様な視点で素早く集計結果を確認できることがピボットテーブルの真骨頂です。
また、複数の項目を一つのボックスに入れることもできます。
例えば、行のボックスに「商品分類」「商品名」のフィールドを追加すると、各商品別の売り上げが、分類ごとの集計も維持しながら表示されます。
簡単に集計ができるピボットテーブルですが、実践的に活用するために、さらにいくつかの機能を知っておくと良いでしょう。
グループ化とは、日付や時刻などのデータをまとめて表示できる機能です。日付のデータを持つフィールドを、行または列ボックスに追加すると、月ごとの集計に自動的にグループ化されます。
グループ化されたラベル(リストのタイトル)には「+」マークが付くため、クリックして必要に応じてその詳細を見ることもできます。
日付や時刻だけではなく、四半期ごとや年ごとにグループ化することも可能です。
ピボットテーブルでは、フィールドを入れ替えるたびに勝手に列幅が変わってしまい、困ることがあります。
設定した列幅を固定して使用するには、以下の操作方法をおこないます。
大量のデータを集計すると数値の桁数が多くなるため、桁区切りのカンマを表示させたり、桁数を千単位・百万単位の表示に変えたりするなど、表示形式を調整したい場面が出てきます。
通常のExcelシートのようにセル範囲を選択して書式設定すると、列数や行数が変わったときに思わぬ結果になる場合もあります。
その場合は、以下の操作で設定することをおすすめします。
カンマを付けたいだけであれば、下記の操作となります。
千単位の表示に桁数を調整したいのであれば、下記の操作となります。
最後のカンマの数を増やせば、3桁ずつ表示桁数を詰めることができます。
ピボットテーブルに慣れないうちは、どんな軸で集計したら良いか迷うこともあるかもしれません。
そんなときに頼りになるのが「おすすめピボットテーブル」です。
「ピボットテーブル」タブ→「ツール」グループ→「おすすめピボットテーブル」ボタンから起動できます。
開いた画面には、縦にさまざまな軸で集計した結果がサムネイルで並んでいますが、気になるものを選ぶと右側の画面にプレビュー表示がされます。そのまま自由にこれだと思うものを選択して「OK」ボタンで確定しましょう。
さらに便利にピボットテーブルを活用するための、とっておきの応用テクニックをご紹介します。
値の大きい順や小さい順に並べ替えたい場合には、以下の操作方法となります。
列や行を任意の順に並べ替えたいときは、ラベル部分を選択してからドラッグすると、行や列の順序を入れ替えることができます。
ドラッグを開始するときは、ポインタの形に注意しましょう。
スライサーを活用すると、他のフィールドを使って今あるピボットテーブルをさらに細かく分析することができるようになります。
以下の操作方法で、シート上にスライサーが表示できます。
この機能により、分析したいフィールドをクリックするだけで、結果が絞り込まれた形に変わります。
複数選択をオンにすることで、複数のフィールドを選択できます。
ピボットテーブルをそのままグラフ化したものが、ピボットグラフです。視覚化されるため、表よりもデータの推移や大小の比較などが実施しやすくなります。
以下の操作方法だけで、簡単にピボットグラフを作成することができます。
元となるピボットテーブルのフィールドを変更すれば、グラフも自動的に再描画されます。
レコードとは、元の表で1行1件で入力されているそれぞれのデータのことです。フィルターとはそのなかから一定の条件を指定して、自分が見たいレコードだけを抽出することです。
Excelにはさまざまなフィルターの方法がありますが、ピボットテーブルではテーブル内の値をダブルクリックすることで、元のテーブルから該当のレコードだけを抽出した新しいシートを作成できます。
集計結果を見ながら「この売上だけ妙に多いのはなぜだろう?」といった疑問を抱いた場合に、根拠となるデータを簡単に一覧できるようになります。
大量のデータを集計するのに大変便利なピボットテーブルですが、使うときにはいくつかの注意点があります。
ピボットテーブルの集計結果が表示されているセルを選択して数式バーを見ると、表示されている値がそのまま入力されていることがわかります。
集計結果は関数などの数式で求められてはいないため、元となるデータが変更されても、その結果が即反映されることはありません。
元データの変更をすぐに反映したい場合には、「ピボットテーブル分析」タブ→「データ」グループ→「更新」ボタンをクリックして変更を反映させましょう。
アクティブセルがピボットテーブル内にあるのに、ピボットテーブルのフィールド作業ウィンドウが消えてしまうことがあります。
その場合は「ピボットテーブル分析」タブ→「表示」グループ→「フィールドリスト」で再表示ができます。
デジタル化を進めると、社内にはさまざまなデータが大量に蓄積していくことになります。そのデータを活用すればきっと何か見えるはず……と思っていても、データ量が増えれば増えるほど、その集計や分析が面倒になると感じている人もいるでしょう。
ピボットテーブルを使えば、素早く簡単に大量のデータを集計することができます。ぜひピボットテーブルを活用して、社内のデータを有効に活用してください。
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