103万円の壁とは 超えたら所得税や扶養どうなる? 106万円の壁との違い
103万円の壁とは、年収が103万円を超えると超えた分に対して所得税がかかる「税金の壁」の一つです。同時に、扶養者が勤めている企業で家族手当(配偶者手当)に制限がかかるボーダーラインの一つにもなっています。ほかの年収の壁である「106万円の壁」「130万円の壁」との違いも紹介します。
103万円の壁とは、年収が103万円を超えると超えた分に対して所得税がかかる「税金の壁」の一つです。同時に、扶養者が勤めている企業で家族手当(配偶者手当)に制限がかかるボーダーラインの一つにもなっています。ほかの年収の壁である「106万円の壁」「130万円の壁」との違いも紹介します。
103万円の壁には、2つの意味合いがあります。超えた分に対して所得税がかかる「税金の壁」という側面と、扶養者の勤める企業から支給される「家族手当」のボーダーラインとなっているという側面があります。
解消に向けてどのように動き出しているのか、また現状はどうなっているのかについて詳しく紹介します。
一つは、年収が103万円を超えると、超えた額に対して所得税がかかる「税金の壁」としての側面です。前提として、原則として、103万円のなかに交通費や通勤手当は含みません。
また、超えた分に対する課税なので「130万円の壁」など社会保険が関係する「年収の壁」と比べると収入に大きな影響が出るわけではありません。
扶養される人の税金は、扶養する人の税金にも影響するのですが、配偶者控除は範囲が広がっています。それまでは、扶養者が38万円の配偶者控除を受けることができる扶養を受ける人の年収の分岐点は103万円でしたが、2018年から150万円となっています。
しかし、厚労省の2021年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査で、就業調整をしているパートタイム・有期雇用労働者の就業調整をした理由(複数回答)を尋ねると、配偶者がいる人に限ると「130万円の壁」(50.8%)に次いで、多い理由が「自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を払わなければならないから」が46.3%に上り、心理的なハードルになっている様子がわかります。
配偶者控除等申告書の書き方(2023年版)は、国税庁の公式サイトを参考にしてください。
さらに、103万円の壁が意識されやすいのは、扶養している人が勤めている企業によっては家族手当(配偶者手当)に制限をかけるボーダーラインになっている点です。
人事院が発表している「2022年職種別民間給与実態調査」によると、配偶者に家族手当を支給する制度がある企業は55.1%あり、このうち、配偶者の収入制限が「103万円」となっている企業は46.7%に上り最多。「130万円(34.3%)」や「150万円(7.5%)」などを上回っています。
これに対し、厚労省は2024年春の賃金見直しに向けた労使の話し合いの中で配偶者手当の見直しも議論されるよう、以下の対応を取ることを明らかにしています。
こうした流れもあり、最近では、配偶者手当を廃止し、その代わりに子ども手当を拡充する企業も増えてきています。
就業調整の要因として、103万円の壁のほかにも「106万円の壁」「130万円の壁」があります。
これらは「社会保険料の壁」です。扶養から外れて社会保険に加入する必要が出るため、結果的に手取りが減ってしまいます。厚労省はその代わりに年金・医療保険が充実すると説明していますが、十分に認知されているとは言えません。
こうした状況に対し、政府は「壁」を超えても、給与収入の増加に応じて手取り収入が増加するよう、労働者1人あたり最大50万円の助成金などの対策を発表しています。
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