目次

  1. 全国銀行データ通信システム(全銀システム)とは
  2. 他行あての振り込みにできない銀行一覧
  3. 全銀ネット「11日も解消の目途立たず」
  4. 全銀ネットが12日に復旧を発表「9時時点で問題なく稼動」
  5. 手形交換に関する不渡猶予措置を実施
  6. ゆうちょ通帳アプリでも一時不具合

 全国銀行協会の公式サイトによると、全国銀行データ通信システム(全銀システム)とは、企業間あるいは企業と個人・政府等との間の資金決済として用いられる「振込」の国内の為替取引を銀行間で担うデータ通信システムのことです。

 一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが運営しています。

 1973年4月に発足し、2018年10月9日から24時間365日稼動しています。日本のほとんどの預金取扱金融機関が参加しており、1営業日平均約675万件、約12.2兆円の取引(年間約16.5億件、約2993兆円)が行われているといいます。

 全銀協は「多額の資金決済を行う全銀システムは、センターを東西(東京・大阪)に設置するとともに回線を多重化すること等で、運営の安全性を高めています」と説明していました。

 この全銀システムで2023年10月10日に不具合が発生しました。他行あての振り込みができない状況だった銀行は以下の通りです。

  • 三菱UFJ銀行
  • りそな銀行
  • 埼玉りそな銀行
  • 関西みらい銀行
  • 山口銀行
  • 北九州銀行
  • 三菱UFJ信託銀行
  • 日本カストディ銀行
  • もみじ銀行
  • 商工組合中央金庫

 全銀ネットはこの一覧にJPモルガン・チェース銀行も加えていましたが、後に影響がなかったことを確認したといいます。

 システム不具合の原因について、全国銀行資金決済ネットワークは「中継コンピューターのシステム更改の際に発生した」とコメントしています。手数料の設定をチェックするプログラムに何らかの問題が生じているとみられます。

 11日の見通しについて、この日、公式サイトを更新し「10月10日から11日に復旧に向けた対応を実施いたしましたが、10月11日11時時点で、解消の目途は立っておりません。通信開始時間である8時30分以降も、10日同様、バックアップ手段を用いて、振込取引の処理を鋭意実施しておりますが、11行における他行宛の振込取引が通常よりも遅延する事象が発生することが考えられます」と説明しています。

 11日午後になっても復旧の目途は立っておらず、全国銀行資金決済ネットワークは夜の会見で「12日8時30分の正常運転を目指している」とコメント。具体的にはエラーの起きているプログラムに対し、処理を簡素化して改めてトライすると説明しています。振込取引の未処理は10日分で49.1万件、11日分で37.9万件に上るといいます。

 補償については「復旧に全力を尽くしており、現時点で補償はまだ検討していません」と回答しました。

 全銀ネットは12日朝に公式サイトを更新し「10月12日(木)未明に復旧に向けた対応が完了し、12日のコアタイムシステムの通信開始時刻(8時30分)から、上記銀行における他行宛の振込取引を通常どおりご利用いただける見込み」と公表しました。

 その後、9時時点で問題なく稼動していることを確認したといいます。 10月10日と11日に対応できなかった振込取引については、12日10時50分時点で全銀センターと銀行間の処理が完了しました。

 全国銀行協会は、全銀システムの不具合で手形・小切手などの決済口座へ振り込みができないことで不渡となった手形・小切手について、不渡報告への掲載を猶予することを電子交換所参加銀行宛てに通知しました。

 不渡報告への掲載の猶予は、異議申立がなければ、1ヵ月後に免除決定となります。

 このほか、ゆうちょ銀行の公式サイトによると、ゆうちょダイレクト、ゆうちょ通帳アプリ、ゆうちょPayなどでも不具合が起きているといいます。

 ゆうちょダイレクトとゆうちょPayは、先行して復旧し、ゆうちょ通帳アプリも11日に復旧しました。