事業再構築補助金で「評価が著しく低い申請が散見」 事務局が注意喚起
国の事業再構築補助金の事務局は2023年10月13日、事業再構築指針で定められた必須要件を満たしていない申請が散見されるとして、中小企業を支援している認定経営革新等支援機関へ注意を呼びかけました。第10回公募から事業再構築指針を改訂し、新規性要件などを再定義したのに、反映されていないことが原因とみられます。
国の事業再構築補助金の事務局は2023年10月13日、事業再構築指針で定められた必須要件を満たしていない申請が散見されるとして、中小企業を支援している認定経営革新等支援機関へ注意を呼びかけました。第10回公募から事業再構築指針を改訂し、新規性要件などを再定義したのに、反映されていないことが原因とみられます。
目次
事業再構築補助金は、新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取組を通じた規模の拡大など、思い切った事業再構築に意欲のある中小企業などの挑戦を支援する国の補助金です。
事業再構築補助金の必須申請要件とは、公式サイトによると、複数ある申請枠ごとに設定されている申請に欠かせない条件のことです。
全枠共通の必須申請要件は以下の2つです。申請枠ごとにも必須申請要件があるので、事業再構築補助金の公式サイトで確認してください。
事業者自身で事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けること。
補助金額が3000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)の確認も受けること。(金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。)
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要です。
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こうしたなか、事業再構築補助金の事務局によると、第10回公募から事業再構築指針が改訂され、新規性要件などを再定義したところ、事業再構築指針で定められた必須申請要件を満たしていないといった理由で、評価が著しく低い申請が散見されるようになったといいます。
第10回からの変更点の一つが、事業計画書の“表紙”です。申請に必要な事業計画書は、これまで完全にフリーフォーマットでの記載でした。
しかし、事務局は2023年4月、事業再構築指針で定める「事業再構築」の定義に合致することを円滑に確認するため、表紙の記載事項を定めました。事務局は参考様式(Word形式)も用意しています。
公募要領には次のように書かれています。
1ページ目で、製品・サービスに事業者にとっての新規性があること、及び新製品・新サービスを通して既存事業と異なる市場に進出することについて説明してください。1ページ目で「事業再構築」の定義に合致するか(前提要件を満たすか)審査を行い、合致しないと判断された場合には不採択となります。2ページ目以降で表1に記載の審査基準に基づき事業内容を評価し、評価が高い案件を採択します。
事業再構築補助金公募要領(PDF方式)
事業計画書では、申請する事業再構築の類型について、事業再構築指針との関連性を説明する必要があります。
たとえば、1ページ目に、既存製品と新製品、既存市場(顧客)と新市場(顧客)、既存事業と新事業などについて、これまでのものとこれからのものが、それぞれ何が異なるかを具体的に記載する必要があります。
事務局が注意喚起しているのは、こうした点が満たされない申請が出ていることが一つの要因だとみられます。
申請要件が厳格化している背景の一つに、コロナ禍で始まった事業再構築補助金の効果に厳しい目が向けられていることがあります。
財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会が10月11日に開かれ、補助金の使い方に改善を求める声が相次ぎました。
たとえば、強みが異なるはずの複数の事業者が、フルーツサンド販売店の展開という同じ内容の計画で採択されていたり、自販機や無人販売店の急増の要因となっていたりするといいます。
また、9月に採択された第10回公募の採択案件約5200件には「ゴルフ」「エステ」「サウナ」に関するものが多数含まれているとの指摘もありました。
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