職場のハラスメントの種類一覧表 厚生労働省が事業主の義務と対策を紹介
厚生労働省は、職場で起こるハラスメントについて「労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけると同時に、労働者の能力の発揮を妨げ、会社にとっても職場の秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題」と指摘しています。法律で禁止されているパワハラ・セクハラ・マタハラについて事業主に課されている義務を中心に、職場のハラスメントの種類一覧表をつくりました。
厚生労働省は、職場で起こるハラスメントについて「労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけると同時に、労働者の能力の発揮を妨げ、会社にとっても職場の秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題」と指摘しています。法律で禁止されているパワハラ・セクハラ・マタハラについて事業主に課されている義務を中心に、職場のハラスメントの種類一覧表をつくりました。
目次
ハラスメントとは、人の尊厳や人格を侵害するような言動や行為のことを指します。近年、法改正により、必要な措置を講じることを事業主に義務づけているハラスメントもあります。法律で禁止されているハラスメントとは、以下のようなものです。
厚生労働省の特設サイト「あかるい職場応援団」をもとに、それぞれに求められる対応を紹介します。
職場のパワーハラスメントは、労働施策総合推進法で、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。2022年4月1日から、中小企業も義務化の対象になりました。
職場のパワーハラスメントとは、3つの要件を満たすものだと厚労省が定義づけています。
ただし、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
優越的な関係を背景とした言動とは、業務を遂行する上で、言動を受ける労働者が抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。
社会通念に照らし、言動が明らかに業務上必要性ない、またはその態様が相当でないものを指します。
言動により、労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
厚労省は、職場のパワーハラスメントに当たりうる行為として6つの行動類型を示しています。
職場のセクシュアルハラスメントとは、労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることをいいます。
性的な言動とは、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(うわさ)を流すこと、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触れること、わいせつ図画を配布・掲示することなどを含みます。
男女雇用機会均等法で、職場におけるセクシュアルハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。さらに、2019年の法改正により、セクシュアルハラスメント防止対策について、事業主に相談したことなどを理由とする不利益取扱いの禁止や自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応が加わりました。
セクハラは、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客なども行為者になり得ます。男性も女性も、行為者にも被害者にもなり得ます。同性に対する性的な言動もセクシュアルハラスメントになります。
厚労省は「日頃から自らの言動に注意するとともに、上司・管理職の立場の方は、部下の言動にも気を配り、セクシュアルハラスメントの背景となり得る言動についても配慮することが大切です」と指摘しています。
マタハラとは、職場の妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの一つです。職場での上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業・介護休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることをいいます。職場の妊娠・出産・育児休業等ハラスメントは、パタニティハラスメント(パタハラ)と言われることもあります。
妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為は「ハラスメント」ではなく「不利益取扱い」となります。
たとえば、妊娠したことを伝えたら契約が更新されなかった、育児休業を取得したら降格させられた、等が不利益取扱いに該当し、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法違反となります。
そのほか、職場で注意したいハラスメントは以下の通りです。
明確にハラスメントとして法律で禁じられていない場合でも、行為やその内容によって暴行罪・脅迫罪・侮辱罪などの刑事上の責任や、民事上の損害賠償責任を問われる場合もあるので注意しましょう。
とくにカスタマーハラスメントについては、労働者がパワハラの次に経験する割合が高いという調査結果もあるため、厚労省の特設サイトで、企業対策マニュアルが配布されています。
ハラスメントは、管理職が自分でそう思っていなくても業務の適正な範囲を超えている場合もあります。言い方ひとつで受け手の印象が変わる場合もあります。
どこまでがハラスメントに該当するのかが分からず、モヤモヤを抱えたままでは、業務に支障が出る場合もあります。厚労省の特設サイトに管理職向けの研修用教材も出ています。日々の業務中でのふるまいを見直すきっかけを作りましょう。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。