目次

  1. サンケン電気とは
  2. サンケン電気が下請法違反と認定された事実
  3. 金型の無償保管の違法根拠
  4. サンケン電気はコメントを発表

 サンケン電気の公式サイトによると、サンケン電気は電子部品、デバイス、電子回路の製造および販売などを手がけており、2023年3月期の連結売上高は2253億8700万円です。

 元々は、1937年10月、東邦産業研究所が設立されたのが始まりだといいます。終戦で研究所が解散し、半導体研究室主任だった故・小谷銕治氏が技術者と設備を継承し、1946年に東邦産研電気を設立。1962年6月、サンケン電気に名称変更しました。

 公取委によると、サンケン電気は、下請事業者16社に対し、サンケン電気が販売または製造を請け負うパワー半導体製品の部品や附属品の製造を委託していました。

 サンケン電気は下請事業者に自社が所有する金型を貸与していました。一部の下請事業者からは長期間発注がないため、廃棄などの希望を聞いていました。また、サンケン電気自身も次回以降の具体的な発注時期を示せない状態になっていました。

 それにも関わらず、下請事業者16社に無償で金型386型保管させ続け、さらに金型の現状確認などの棚卸し作業を毎年2回行わせていたといいます。

 公取委によると、親事業者が下請事業者に金型を無償保管させることは、下請法4条2項3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反するといいます。

 下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準でも、金型の無償保管は違反事例として紹介されています。

7-5 型・治具の無償保管要請
(1) 親事業者は、機械部品の製造を委託している下請事業者に対し、量産終了から一定期間が経過した後も金型、木型等の型を保管させているところ、当該下請事業者からの破棄申請に対して、「自社だけで判断することは困難」などの理由で長期にわたり明確な返答を行わず、保管・メンテナンスに要する費用を考慮せず、無償で金型、木型等の型を保管させた。
(2) 親事業者は、自動車用部品の製造を委託している下請事業者に対し、自社が所有する金型、木型等の型・治具を貸与しているところ、当該自動車用部品の製造を大量に発注する時期を終えた後、当該部品の発注を長期間行わないにもかかわらず、無償で金型、木型等の型・治具を保管させた。

下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準(公取委の公式サイト)

 経産省は、経済産業省は、部品製造に必要な金型の管理コストが、不適切な形で下請企業に押し付けられることを是正するため公式サイト上で「明日から使える型管理適正化マニュアル」などを公表して周知を図っています。

 サンケン電気は、下請事業者16社に対し、金型保管サービス提供事業者の価格例などを提示して見積書を徴収した上で、無償での金型保管と棚卸し作業に相当する計1136万9160円を支払ったと公表しました。

 そのうえでサンケン電気の公式サイトで以下の通りコメントしています。

当社は、本勧告等を厳粛に受け止め、本件について役員及び従業員に周知徹底するとともに、下請法遵守の社内教育の実施、チェック体制を強化するなど、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めてまいります。

サンケン電気公式サイト