目次

  1. ネットショップの販売が9割
  2. 兄はECを学び、弟は店を運営
  3. こだわりのなさがECで奏功
  4. 兄弟で支え合って事業承継へ
  5. スイーツ販売で得た教訓と成果
  6. 設備投資で追い風をつかむ
  7. 「お茶割り」実演がブランディングに
  8. 世界的なブランドを目指して

 川本屋は、備長炭で火入れした静岡県産の高級煎茶を始め、全国から取り寄せる日本茶や健康茶のほか、茶器やかつお節などを扱っています。自社で製造・販売するオリジナルのパウンドケーキやガトーショコラなどの茶菓子も人気で、商品アイテムは定番だけで200種類を超えます。

伊勢佐木町商店街にある「川本屋茶舗」。2023年1月に全面改装しました

 売上比率はスイーツ6割、お茶関連商品が4割。販売経路はネットショップが9割を占め、残り1割が実店舗と飲食店などへの卸業に分かれます。

 母の日などの繁忙期はギフト需要を中心に、ネットショップ経由で全国から1日千件もの注文が入ります。事業承継前は2千万円だった年商は、10年で約20倍の約4億円にまで伸びました。

50種類のお茶を中心に、急須や茶香炉、和スイーツが並びます

 川本屋は1897(明治30)年、東京・赤坂の置屋として創業しました。1910年に2代目の太郎吉さんが今の場所に移転し、かつお節や砂糖などを扱う乾物店を開業。3代目の宗太郎さんはお茶を商材に取り入れ、4代目で、兄弟の父・明さんは仏事の返礼品事業に注力するなど、柔軟に事業展開してきました。

第2次世界大戦末期の川本屋(川本屋提供)

 川井家の長男・秀昭さんは弟・喜和さんと、幼いころから家業をよく手伝っていました。「お小遣い欲しさに窓ふきや店番、お茶の梱包などをしていました。家業は身近でしたが、両親からは特に後継ぎの話は出たことがありません」(秀昭さん)

 秀昭さんは通信機器の販売会社で営業職を務めた後、2008年に退職し、家業や知人の事業を手伝いました。

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