目次

  1. 信用保証制度とは
  2. 経営者保証とは
  3. 経営者保証の提供を不要とする信用保証制度
    1. 対象要件
    2. 保証料率
  4. 上乗せ保証料を3年間は軽減へ

 日本政策金融公庫の公式サイトによると、信用保証制度とは、中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金を借り入れるとき、または、社債の発行により金融機関から資金調達をするとき、信用保証協会が保証人となる制度です。

 その結果、中小企業・小規模事業者は金融機関から資金調達しやすくなるといいます。

中小企業・小規模事業者、金融機関、信用保証協会の三者が当事者となる信用保証制度の概要
中小企業・小規模事業者、金融機関、信用保証協会の三者が当事者となる信用保証制度の概要

 政府は、経営者保証に依存しない融資を促進するため「経営者保証に関するガイドライン」を作っていますが、中小企業の4割が利用している信用保証制度で、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証を徴求しているといいます。

 こうした現状が中小企業の事業承継をためらわせる要因になっていました。

 そこで、経済産業省はあらたに、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を設けることにしました。

 経営者保証ガイドラインの3要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)よりも緩和した要件を設定しています。

経営者保証とは、会社が金融機関から受ける融資について、連帯保証人として経営者個人による保証をつけるしくみ(政府広報オンラインから引用)
経営者保証のしくみ(政府広報オンラインから引用)

 中小企業庁の公式サイトによると、経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となることを指します。

 企業が倒産して融資の返済ができなくなった場合は、経営者個人が企業に代わって返済することを求められる(保証債務の履行を求められる)といいます。

 保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度は、3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。

 経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を利用するには、以下のいずれにも該当する必要があります。法人の設立後最初の決算が未了の場合は1.から3.までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の場合は3.に掲げるものをそれぞれ除くといいます。

  1. 過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類(必要に応じて試算表や資金繰り表等も)を当該金融機関の求めに応じて提出していること
  2. 直近の決算書において代表者への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
  3. 直近の決算において債務超過ではない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと
  4. 1.及び2.については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること
  5. 中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること

 通常の保証料率に、3.の要件を両方とも満たしている場合は0.25%、どちらか一方のみを満たしている場合は0.45%の上乗せを行う(2期分の決算書がない場合は0.45%の上乗せ)。

 経産省は、新制度の活用を促すため、新制度における「上乗せ保証料」について、3年の時限措置として軽減します。

 2025年3月末までの保証申込分は0.15%、2025年4月から2026年3月までの保証申込分は0.10%、2026年4月から2027年3月までの保証申込分は0.05%に相当する保証料を国が補助します。