ダイハツ新社長の井上雅宏氏の経歴は? 2024年3月から新体制へ
杉本崇
(最終更新:)
認証不正問題を起こしたダイハツ工業は、2024年3月1日からの新社長に、親会社のトヨタ自動車の中南米本部長の井上雅宏氏が就任すると発表しました。さらに新副社長に、トヨタ自動車九州副社長の桑田正規氏、非常勤の新取締役にトヨタ自動車カスタマーファースト推進本部の柳景子副本部長が就任します。新体制のねらいについてダイハツは「経営が現場に降りていき、丁寧に現場の声を聞き、現場に主権を取り戻す経営をできる体制が必要」と説明しており、4月に改めて井上新社長から新体制方針を説明する予定です。
新社長の井上雅宏氏が会見
2024年2月13日、ダイハツとトヨタが共同記者会見を開き、ダイハツ新社長の井上雅宏氏の人事を発表しました。
トヨタ自動車の佐藤恒治社長は、会見のなかで「改めて、ダイハツの事業領域を軽自動車に軸を置いた会社と定め、海外事業については、企画・開発・生産をトヨタからの委託に変更する方向で、詳細の検討を進めてまいります」と発言。
そのうえで、井上氏について「井上次期社長は、ブラジル・アルゼンチンの地域経営の再構築など、長年、中南米事業の構造改革に取り組んでまいりました。難しい決断も多いなかで、現場のメンバーと徹底的に対話をして、改革を前に進めてきたリーダーです。こうした経験を活かして、現場経営の責任者として、ダイハツの再生をけん引してまいります」と紹介しました。
続いて、井上氏も次のように発言しました。
この度の不正につきましては、昨年4月の課題発生以降、第三者委員会調査、12月20日の調査結果報告などの情報を常に聞いて参りました。
ダイハツ工業社長を拝命し、まず、頭に浮かんで参りましたのは、ダイハツ車両をお使い頂いているお客様、納車を待って頂くお客様 販売、サービスを担って頂いている国内外の販売店、業販店の皆様 生産・出荷が滞り、困っておられるサプライヤー、物流関係の皆様、国、自治体、地域の皆様にご迷惑、ご不便をお掛けしていることです。
心よりお詫び申し上げたいと思います。
ダイハツには、100年を超える歴史があり、現在は、連結会社雇用総数は4万人を超える会社です。
特に、ここ10年の成長は、ダイハツの長い歴史で鍛えてこられた様々な強みが、トヨタグループの中で発揮され実現されたのだと理解しております。
一方、この成長過程で、各職場が果たすべき業務の質と量が拡大してきたはずなのですが、その中で、現場の声、困り事を吸い上げきれず、課題を残したまま、業務遂行をさせてしまったことが原因だと理解しております。
トヨタ自動車社長の佐藤から申し上げました再発防止策について、ダイハツが力不足の点は、トヨタの力を借りながら、確実に実行していくこと。そして、不正を引き起こしたダイハツの組織・風土を、ダイハツメンバーと共に力を合わせて改革し、ダイハツ再生に、全力を尽くしたいと考えております。
ダイハツ新体制について(トヨタ公式サイトから)
井上雅宏氏の経歴と新社長就任理由
井上雅宏氏は1987年、トヨタに入社。2019年からトヨタ自動車の中南米本部長を務めています。
新社長に井上氏を選んだ理由として、ダイハツは「今回の認証不正の根本は身の丈を越えた負荷を現場に強いたことがあると考えております。ダイハツの立て直しにあたっては、経営が現場に降りていき、丁寧に現場の声を聞き、現場に主権を取り戻す経営をできる体制が必要だと考え、適材適所の観点から、検討・決定しました」と説明しています。
そのことを示すように、井上氏は記者会見のなかで「私は、トヨタ入社からの36年で約半分を海外、主に新興国で過ごして参りました。人の話を聞くためには、まずは自分から話しかけ、相手の信頼を得ないと、本音を聞かせて貰えないことを経験して参りました。まずは、自分が現場に出向き、自分から話しかけ、信用をして頂き、本音の話を伺うことから始めたいと思います」と話しました。
ダイハツの新体制人事
井上新社長も含むダイハツの3月1日付の取締役の新任は以下の通りです。
氏名 |
現職 |
新職 |
井上雅宏 |
トヨタ自動車中南米本部(本部長) |
代表取締役社長 |
桑田正規 |
トヨタ自動車レクサス電動化推進PJT担当、トヨタ自動車九州取締役副社長 |
代表取締役副社長 |
柳景子 |
トヨタ自動車カスタマーファースト推進本部副本部長 |
取締役(非常勤) |
一方で、現体制の松林淳代表取締役会長と、奥平総一郎代表取締役社長、山本正裕取締役(非常勤)は退任し、会長職は廃止となります。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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