目次

  1. 産業資材縫製が「惣菜づくり」 10年後見据え
  2. 「強みがわからない」事業を一つずつ組み立てていく
  3. 突破口は「兼業農家の社員さん」
  4. 規格外野菜の買い上げが「社会課題解決」へ
  5. 「強みを生かした社会性のある事業」へ

 創業36年の佐藤縫製は、防災製品の縫製加工のほか、酒袋の縫製など、産業資材の縫製を得意とする会社です。

 産業資材は、縫製業界でも特異な技術が必要とされ、社員の過半数は勤続15年を超えるベテラン縫製技術者がそろいます。また、アパレル向けと異なり、産業資材という消費者市場に左右される要素の少ない安定した業態でした。

 しかし、2020年以降の新型コロナによる緊急事態宣言の影響で、それまで売り上げを支えていた主要な顧客である酒造メーカーからの注文が激減したほか、佐藤縫製の主力仕入れ先でもある中国の反物工場がコロナによる稼働・出荷停止となり、原材料の仕入が不可能となったことで、一時的に売上が減少しました。

 そこで「いつでも不測の事態に備えることができるよう10年後を見据えて今のうちに何か新しい事業を始めておこう」と、新規事業の検討を始めました。

佐藤縫製の黒澤さんの相談風景
佐藤縫製の黒澤さんの相談風景

 創業3代目にあたる黒澤理紗さんがゆざわ-Bizに訪れたのは、新型コロナの影響が大きかった2020年10月。

 黒澤さんは栄養士ということもあり「地元でとれた野菜などを利用した惣菜を作って、それを移動販売できないか」という相談でした。当時はコロナ禍ということもあり、テイクアウト需要も多く、当時黒澤さんとしては「ニーズはあり、食品分野は自分の夢でもあったので、なんとなくできるのかどうか相談してみた」という感覚だったそうです。

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