目次

  1. 原点は食堂 気軽に通える老舗洋食屋
  2. 「自分で動け」と言われて大手チェーンと掛け持ち
  3. 従業員インタビューから生まれた「みんな笑顔になる」
  4. タッチパネル式のオーダーシステムはあえて導入しない
  5. 冷凍事業に本腰 働き方改革にも
  6. 広がった客層 売上は1.5倍

 キッチンABCは稲田さんの祖父である稲田義治さんが、スーパーマーケットチェーンの食堂部門を独立するかたちで、1969年に創業しました。現代表、稲田さんの父である稲田義雄さんの代になると、料理人でもあった義雄さんが得意であった洋食がメニューの中心となっていきます。

人気メニューの「オリエンタルライス」創業時から受け継がれる秘伝のタレが隠し味(東京フードサービス提供)
人気メニューの「オリエンタルライス」創業時から受け継がれる秘伝のタレが隠し味(東京フードサービス提供)

 豚の焼き肉やカレーといった、いつでも気軽に通える価格帯のメニューを中心に、創業時から受け継がれる秘伝のタレで味付けした「オリエンタルライス」といった、ユニークなメニューも考案していきます。

 一つひとつの料理をプロの調理人が手作りする本格的な味に加え、オムライスのお米をドライカレーにアレンジしたり、味噌汁は具材が豪華な豚汁にしたりするなどのアイデアや工夫も支持され、人気店へと成長。現在では池袋界隈に4店舗を展開、従業員約46人まで事業を伸ばしています。

仕込み作業
仕込み作業(東京フードサービス提供)

 コロナ禍となった際も、常連客がテイクアウトで利用を続けたため、売上は多少下がりましたが、店を休業するなどの大きなダメージは受けませんでした。一方で、コロナ禍はチャレンジのきっかけになったと、稲田さんは言います。

 「父が以前から話していたことですが、いつ、何が起こるか分からない。事業がうまくいっているときこそ、新たなチャレンジをするべきだと。コロナ禍をきっかけに、まさにこのことを痛感しました」

 一方で、義雄さんは自分ができる新たなチャレンジはすでに取り組んでいると感じていました。そこで稲田さんが家業に入り、新たな改革を進めていくことを決めます。2021年のことでした。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。