目次

  1. 酒類業振興支援事業費補助金とは
    1. 海外展開支援枠
    2. 新市場開拓支援枠
  2. 補助金申請の評価ポイント
  3. 補助金の申請、いつからいつまで?
  4. 酒類業振興支援事業費補助金の申請方法

 国税庁の公式サイトによると、酒類業振興支援事業費補助金は、日本産酒類の輸出拡大及び酒類業の経営改革・構造転換を図ることを目的とした補助金です。
日本酒の製造・販売を行う事業者に対し、以下の2つの事業を支援しています。

  1. 海外展開支援枠
  2. 新市場開拓支援枠

 詳しくは、以下で説明します。

 海外展開支援枠とは、日本産酒類の輸出拡大を図るとともに、酒類業の健全な発達を促進するため、日本産酒類の海外販路拡大や商品等の高付加価値化に関する取り組みを支援します。

 たとえば、次のような取り組みが支援対象となります。

  • 海外ニーズを踏まえ、強みを活かした海外展開をするための現地調査及びブランド戦略の構築
  • 海外の嗜好に即した新商品開発、新規ブランドの立上げ、そのための調査研究
  • 海外において新規に製品を取り扱う事業者の開拓や新たな販売手法の試行
  • 海外の有名レストラン等の協力による認知度向上に向けた情報発信
  • 地理的表示(GI)やテロワール等を海外向けのブランド化に活用する取組
  • 農商工連携や異業種連携等により、新たな価値創造を目指す取組

 さらに、酒蔵の観光化や地域における酒蔵ツーリズムプラン策定の取り組みも支援します。たとえば、次のような事業を想定しています。

  • 酒蔵自体が観光化の取組を行うことによる、観光客の受け入れ整備や消費拡大につながる取組
  • 観光客が、酒蔵等で高付加価値な体験(酒造りや宿泊等)ができる受け入れ環境整備に向けた取組
  • 地域で酒蔵ツーリズムを実施することにより、地域連携の機運醸成や、酒類を含む地域の価値創造につながる取組
  • ガイド育成や他の観光資源の組合せによる滞在時間の拡大や宿泊を通じ、消費拡大を促す商品開発

 補助率は、補助対象経費の1/2で、補助上限は、1000万円上限、50万円下限となります。ただし、ただし、3者以上の酒類事業者が集まって取組を推進する場合の上限額は、1200万円(3者)、1300万円(4者)、1400万円(5者)、1500万円(6者以上)となります。

 酒類業の経営改革と構造転換を図るとともに、酒類業の健全な発達を促進するため、以下の事業を支援します。

 一つ目は、商品の差別化による新たなニーズの獲得です。マーケットインの考えを踏まえ、消費者のニーズを掘り起こすとともに、既存商品と差別化された酒類を開発することを目的としています。

 たとえば、以下のような事業を想定しています。

  • 食品とのペアリングに特化した商品や、地方産品の特性を生かした商品の開発
  • 地元・活用した休耕田の収穫物を原材料とした商品の開発
  • 個人に対するオーダーメイド商品の開発体制の構築
  • 新たな原材料等を使用し、これまでにない特性を持たせた高付加価値商品の開発
  • 「伝統的酒造り」を差別化のポイントとした高付加価値商品の開発

 二つ目は、販売手法の多様化による新たなニーズの獲得です。販売の場面における新たな訴求力の創出を通じ、消費者の多様なニーズに応えるサービスを提供することを目的としています。

 以下のような事業を想定しています。

  • 商品情報の充実による販売促進(二次元コード等を活用した取扱商品のブランドストーリーの提供や消費者が求める情報を記載した裏ラベルの活用等)
  • テイスティング等の顧客体験を重視した販売形態の確立
  • データ分析等を用いた、顧客のし好に合致した商品の販売手法の導入

 三つ目は、ICT技術を活用した、製造・流通の高度化・効率化です。これまで専門家の経験等に依拠していた作業にICT技術を活用することによって専門家の技能とICT技術との相乗効果を創出する等、製造・流通の高度化・効率化を図ることも目的としています。

 以下のような事業を想定しています。

  • 製造:AI技術等を活用した品質管理システムの導入
  • 流通:RFIDやAIカメラ等を活用した管理システムの導入

 補助率は、補助対象経費の1/2です。ただし、従業員数が20人以下の小規模酒類事業者や、従業員数5人以下の卸・小売業は2/3まで引き上げられます。補助上限は1件あたり500万円上限、50万円を下限とします。

 新市場開拓支援枠には「3~5年の事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画を策定し、かつ、売上額または付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定していること」という申請要件があります。もし、給与支給の増加計画を達成できない等の場合において、補助金額の一部を返還が必要となりますので注意してください。

 酒類業振興支援事業費補助金は公募要領で評価ポイントを示しています。採択されるためには、申請書類に盛り込めているかチェックしましょう。

  • 現状分析…自らの置かれている環境や現状、課題について、客観的なデータを用いた分析を行っているか。ターゲット市場における自社製品の優位性等を競合他社製品と比較しながら説明しているか
  • 新規性・先進性…類似事例がない取組または類似事例が少ない取組であるか
    優位性…既存商品や競合他社商品と比べどのような差別化(性能、価格、知名度等)がなされているか、またその優位性の根拠を具体的に記載しているか
  • 事業実施体制の妥当性…事業者等の財務状況、ノウハウ、人材等が十分な水準にある場合や、専門家・有識者等を起用あるいは連携しているなど、補助事業の目的を達成するために必要かつ十分な体制を構築しているか。参画事業者の役割が明確であるか。酒類の適正な販売管理に向けて配意しているか
  • 目標、事業内容の妥当性…自らの課題を踏まえた目標が明確に示されており、目標に対して現実的かつ具体的な事業計画となっているか。「事業の経費が全て設備投資であり、かつ、設備の導入のみで完結する事業」に該当していないか。
  • 必要経費の妥当性、事業の収益性…必要経費について、事業内容に照らして妥当な内容となっているか。補助金額に対して費用対効果が大きいと認められるか。
  • 事業の持続性及び将来的な事業展開の可能性…補助事業完了後の自走に向けた計画・ビジョンが明確・具体的であり、持続性があると認められるか。

 そのほか、事業者等が経営強化法に基づく経営革新計画、異分野連携新事業分野開拓計画、経営力向上計画、中小企業地域資源活用促進法に基づく地域産業資源活用事業計画、農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画又は環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律に基づく基盤確立事業実施計画のいずれかの認定を受けている場合や、パートナーシップ構築宣言を行っている事業者にはなどには加点項目もあります。

 第3期の公募期間は2024年8月1日(木)~9月11日(水)です。郵送の場合、締切日必着。電子メールの場合、締切日までに受信を確認できたものが有効です。電子メールは10MBを超えると受信できないため、ファイルサイズに注意してください。

 補助金の申請には、国税庁の公式サイトで掲載されている公募申請書を郵送・電子メールいずれかの方法で提出してください。

 公募申請書の提出先及び問い合わせ先は、国内における主たる事業実施場所を所轄する国税局です。詳しくは公募要領で確認してください。