目次

  1. 高付加価値商品の需要が高まる
  2. 世界25カ国に商品展開
  3. 婿養子がこだわる「圧倒的成果」
  4. 「獺祭」から学んで家業を再生
  5. 21年ぶりに酒蔵を復活
  6. 「日本酒界のジョブズ」の挑戦

 酒蔵を紹介する前に、日本酒の現状を簡単におさらいします。

 国税庁発行の「酒のしおり」によると、清酒の課税移出数量(出荷量)は、ピークだった1973年度の177万キロリットルから、2019年度には3割以下の46万キロリットルまで減少しています。

清酒の課税移出数量の推移(出典:国税庁「酒のしおり」)

 しかし、暗い材料ばかりではありません。課税移出数量の内訳を見ると、普通酒は減少傾向ですが、より付加価値の高い純米酒と純米吟醸酒については、08年度(酒造年度)の8万2千キロリットルから、19年度(同)は10万1千キロリットルとなり、23.2%も増加しています。

清酒のタイプ別・課税移出数量の推移(出典:国税庁「酒のしおり」)

 さらに、清酒製造業の出荷金額の単価は上昇し、出荷金額も12年から増加傾向です。より高付加価値の商品の需要が高まっていることがうかがえます。

 国税庁は「酒類業界の大半は中小企業ですが、商品の差別化、高付加価値化、海外展開等に取り組み、成長している事業者も少なくありません」と分析しています。これから紹介する酒蔵の後継ぎは、その成長を担う存在と言えるでしょう。

 6月に公開した記事「赤字の酒蔵『このままでは持たない』 6代目が絶えず進めた商品改革」、「製造ミスが酒蔵経営の転換点に 6代目が社員に共有したフィロソフィー」では、山形県酒田市の楯の川酒造6代目社長・佐藤淳平さんを取り上げました。

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