生産量は1割以上減

――佐藤さんは2020年5月、事業承継をテーマに、ツギノジダイのインタビューに登場していただきました。あれから1年、コロナ禍の影響はいかがでしたか。

 2020年は酒米があまり収穫できなかったという事情もあり、21年は生産量が1割以上減少してしまいました。利益はそれ以上に落ちているでしょう。でも、新政酒造はまだ余裕がある方です。取引している酒販店は、阿鼻叫喚といった状況です。

 こうした酒販店は、飲食店が主要な販売先です。21年4月に(緊急事態宣言下の)飲食店で酒類の提供ができなくなった後は、壊滅状態だったのではないでしょうか。20年よりも落ちているし、コロナ前の19年対比だと、もっとひどいことになっていると思います。

当初よりも手の込んだ企画に

――新政酒造の看板銘柄「No.6」(ナンバーシックス)が21年に発売10周年を迎え、「No.6」の限定シリーズ6種類を、約1年かけて発売する企画を打ち立てました。コロナ禍でも積極的に仕掛けている理由は何でしょうか。

 日本酒は「ハレの日」のお酒です。鬱屈した日常に対抗し得るのかなと思い、企画を進めました。2月の第1弾では、人気イラストレーター兼デザイナーのダイスケリチャードさんがデザインしたボトルを限定販売し、東京・渋谷で発売記念イベントを開きました。

ダイスケリチャードさんがデザインした「No.6」の限定ボトル(新政酒造提供)

 その時、ダイスケさんがデザインしたキュートなイラストや、Tシャツ、ポスターなども販売しました。お酒は飲むと無くなりますが、グッズがあれば、思い出を残してもらえます。

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