目次

  1. 配管の内部を「見える化」
  2. 「業態の弱さを感じていた」
  3. 危機感から考えた提案が却下
  4. 困っているところにこそ商機
  5. 社員との向き合い方を変えた
  6. 分社化でロボット開発を前に
  7. 徐々に広がったニーズ
  8. 業界支援プラットフォームも開始

 細く曲がりくねったパイプの中を、ヘビのように車体をくねらせながら前進する。このロボットこそが、KOEIのグループ会社・弘栄ドリームワークスが、2019年に開発した「配管くん」です。

 先端に高感度カメラを付けて、内部に不具合がないかを映像で確認できるほか、配管のルートもデジタルデータでマッピングできます。

「配管くん」が配管内を動く様子のデモ動画

 壁の中に埋め込まれるなど確認しづらかった配管の状態を「見える化」し、サービス開始以来、400の現場で使用されています。関連技術で特許も取得し、大手鉄道会社、ショッピングモール、大手ディベロッパー、自治体などに活用が広がっています。

 「会社のあり方を変えるためには、オンリーワンの商材が必要でした」。そんな船橋さんの思いを体現したのが「配管くん」です。しかし、そこにたどり着くまでには多くの蹉跌がありました。

「配管くん」の最新モデル(KOEI提供)
「配管くん」の最新モデル(KOEI提供)

 KOEIは1946年、鉄道の設備技師だった船橋さんの祖父が、山形県東根市で創業した作業所がルーツです。1954年、山形市に弘栄設備工業を創立し、オフィスや住宅などの空調や給排水設備、上下水道などの施工を手がけてきました。

 山形駅などの公共施設や、スキーの国際大会が開かれる蔵王ジャンプ台の設備、温泉に関する配管など施工能力に定評があります。グループ全体の売上高は140億円で、「建設設備業では東北で3番目の売り上げ規模」(船橋さん)といいます。

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