目次

  1. 自動車運送事業者の行政処分とは
    1. 事業の停止処分となる場合
    2. 事業の許可取消処分となる場合
  2. 行政処分を厳罰化する理由
  3. 改正された行政処分の基準
    1. 酒酔い・酒気帯び運転の行政処分(トラック、バス、タクシー)
    2. 勤務時間等告示の遵守違反(トラック)
    3. 点呼の未実施(トラック)

 国交省のポータルサイト「自動車総合安全情報」によると、国交省は運送事業者に対する監査をしており、監査の結果、法令違反が判明した場合には、文書警告、自動車の使用停止、事業停止、許可取消などの行政処分を行うとともに、改善命令などを出します。

 自動車運送事業者の法令違反には、点数制度を導入しています。たとえば、バスやタクシーの事業者が道路運送法等の法令違反を犯した場合、法令の規定により自動車の使用停止が命じられます。

 その処分日車数(停止日数×停止車両数)10日車までごとに1点とし、原則として累積期間3年間で計算されます。累積違反点数が20点超となった場合は公表の対象にもなります。

  • 1回の行政処分で270日車以上を受けた営業所(ただし、運輸局内の累積違反点数が30点超の場合は180日車以上)
  • 運輸局内の累積違反点数が50点超となった場合、その運輸局内の全営業所が対象
  • (地域に関係なく)2年間に事業停止処分を4回受分けた場合
  • 運輸局内の累積違反点数が80点超となった場合

 国交省によると、政府が「物流革新に向けた政策パッケージ」を取りまとめるなかで、悪質な事業者が利益を得るモラルハザードを防ぐため、法令遵守意識が低く、悪質な法令違反が常態化しているトラック事業者に対し、改善を促すため、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準」を改正することにしました。

 処分基準の改正は2025年1月施行予定でしたが、前倒しされて2024年10月1日からとなります。

 国交省のポータルサイト「自動車総合安全情報」に示された自動車運送事業者の行政処分の改正基準は以下の通りです。

 トラック、バス、タクシーが対象となる酒酔い・酒気帯び運転の行政処分基準は、新たに「指導監督義務違反」についての量定が定められました。

 酒酔い・酒気帯び運行が行われた場合、飲酒が身体に与える影響、飲酒運転、酒気帯び運転の禁止に関わる指導が未実施の場合は、初違反で100日車、再違反で200日車の処分が課されます。

 酒酔い・酒気帯び運行が行われた場合で点呼を実施していなかった場合の「点呼の実施違反」の量定も新たに設定され、初違反で100日車、再違反で200日車の処分となります。

 トラックについては「勤務時間等告示の順守違反」の量定が引き上げられました。従来の未順守計16件での上限をやめ、未順守計6件以上の場合、初違反で未順守1件あたり2日車、再違反で未順守1件あたり4日車に引き上げられます。

 トラックの「点呼の未実施」でも、従来の未実施50件以上の上限をやめ、未順守20件以上の場合、初違反で未順守1件あたり1日車、再違反で未順守1件あたり2日車へと引き上げられます。