「仕入割引」の減額・金型無償保管は下請法違反 公取委がSANEIに勧告
「仕入割引」などの名目で、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金約470万円の額を減じていた行為や、長期間にわたり金型を無償保管させていた行為が下請法違反にあたるとして、公正取引委員会は2024年9月26日、水栓金具等の製造販売を手がける「SANEI」(大阪市東成区)に対し、勧告したと発表しました。SANEIは「仕入割引」を廃止し下請事業者に減額分を支払ったことを明らかにしました。
「仕入割引」などの名目で、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金約470万円の額を減じていた行為や、長期間にわたり金型を無償保管させていた行為が下請法違反にあたるとして、公正取引委員会は2024年9月26日、水栓金具等の製造販売を手がける「SANEI」(大阪市東成区)に対し、勧告したと発表しました。SANEIは「仕入割引」を廃止し下請事業者に減額分を支払ったことを明らかにしました。
SANEIの公式サイトによると、SANEIは1954年創業で、デザイン性に優れた水まわり用品のメーカーです。2024年3月時点で、従業員数は連結で連結866人。納入先は3000社、仕入先は500社に上ります。
公取委の公式サイトによると、SANEIは、下請事業者に対し、2022年7月~2024年1月、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、「仕入割引」名目で下請代金の額を減じていたといいます。減額した金額は、下請事業者10人に対し総額470万9138円に上ります。
SANEIは、下請事業者に対して遅くとも2022年7月1日以降、金型を用いて製造する水栓金具などの発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者50社に対し、合計692型を無償で保管させるとともに、金型の現状確認等の棚卸し作業を1年間につき1回行わせることで下請事業者の利益を不当に害していたといいます。
SANEIは2024年8月30日、下請事業者に対し、仕入割引名目で減額した金額を支払いました。また、2023年7月31日~2024年4月5日、28事業者に対し、692型の金型のうち、182型の金型を廃棄しました。金型の無償保管に相当する額は、公取委の確認を得た後、速やかに支払うと説明しています。
そのうえで、SANEIの公式サイトは、公正取引委員会からの勧告についてコメントを発表しました。
当社では、常日頃、ご協力、ご支援いただいている対象事業者様との取引において、本勧告を受けるに至った事態を大変重く受け止めております。今後の取引において、下請事業者様の責めに帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じることや、下請事業者様の利益を不当に害することのないよう、当社取締役会の決議により確認するとともに、社内において下請法の研修を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講じ、役員及び従業員に周知徹底の上、コンプライアンスの一層の強化ならびに運用の改善と再発防止に努めてまいります。
SANEI「公正取引委員会からの勧告について」
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