目次

  1. 協働化・大規模化へ 介護経営改善の政策パッケージ
  2. 協働化・大規模化、3段階で支援
    1. 経営課題への気づき
    2. 協働化・大規模化等に向けた検討
    3. 協働化・大規模化等の実施
  3. 協働化・大規模化等のメリット・デメリット

 日本の生産年齢人口2022年時点で約7400万人だったのが2050年推計では約5500万人へ減少することが見込まれています。

 急激な人口減少社会に対応し、デジタルを最大限に活用して公共サービスの維持が必要となるなか、政府のデジタル行財政改革会議は2024年6月に「デジタル行財政改革 取りまとめ2024」を決定しました。

 介護分野では「介護サービス市場において人材確保が困難となる中、介護施設・事業所が安定的に必要な事業を継続し、地域におけるサービスを確保し、複雑化したニーズに対応するためには、1法人1拠点といった小規模経営について、協働化・大規模化等による経営改善の取組が必要」と指摘しています。

 デジタル行財政改革の取りまとめをもとに「協働化・大規模化による介護経営の改善に関する政策パッケージ」が作られました。

 政府方針を受けて、厚生労働省の公式サイトでは、「協働化・大規模化による介護経営の改善に関する政策パッケージ」のなかで、支援内容を次の3段階で整理しました。

  1. 経営課題への気づき
  2. 協働化・大規模化等に向けた検討
  3. 協働化・大規模化等の実施

 それぞれの具体策について紹介します。

 協働化・大規模化に向けて「事例を知りたい」「まずは相談したい」というニーズに対し、次のような支援策があります。

 このほか、介護ロボットに関する介護現場(ニーズ)・開発企業(シーズ)双方からの相談受付などを行う一元的な窓口として「介護ロボット等の開発・実証・普及広報のプラットフォーム」も案内しています。

 協働化・大規模化等の検討に向けて、手続き・留意点をまとめた資料は以下の通りです。

 協働化・大規模化等の実施に向けては次のような財政支援があります。

 協働化・大規模化等のメリット・デメリットは「介護経営の大規模化・協働化に関する調査研究事業報告書」(PDF方式)で詳しく紹介されています。

 協働化・大規模化の先行事例はいずれも最初から協働化・大規模化を目指していたのではなく、「地域共通の課題に対処すること」、「地域の福祉サービスを守ること」を目指した結果、協働化・大規模化したといいます。

 スケールメリットを生かして業務効率化や経費節減に成功している例も見られたものの、財務が悪化した例もあり、必ずしも規模が大きくなればなるほど成果が得られるものではないことに留意すべきだと指摘しています。

 協働化では、多くの事例でサービスの質の向上・拡充を行っていました。単独では難しいサービスも協働化を通じて互いに補完し合うことにより、無理なくサービスの拡充が図られていたといいます。

 また、教育研修の充実による人財面での成果や購入費用の低減などの財務的な恩恵のみならず、共同で感染対策用品を調達したり、災害時の連携の検討が進んだりするなど、一部では有事の際の対応力の強化が図られていました。

 このほか、大規模化すると、財面でのマネジメント体制が整わなければ、大規模化の推進は逆に運営上の障害やリスクになる可能性があり、管理職の育成が進まなければ、拠点の拡大の足かせになり得ることに注意が必要だといいます。

 ただし、協働化は、現状は補助金を活用するケースが大半であり、財務的に自走できるようにすることが大きな課題です。

 また、地域における共通課題に対して共通認識がなければ、各法人の参加意欲に差異が生じて、取り組みが円滑に進まない可能性があるといいます。また、強力にリーダーシップを発揮する推進役がいなければ、取り組みが長続きしない恐れがあることにも留意が必要だといいます。