目次

  1. 買い物難民・買い物困難者・買い物弱者とは
  2. 買い物難民の現状
  3. 買い物難民への対策
  4. 食品アクセス総合対策事業
  5. 持続可能な食品等流通対策事業

 食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じている買い物難民は、買い物困難者、買い物弱者とも呼ばれます。高齢化、単身世帯の増加、バス路線の廃止や減便などの要因により、日本では買い物難民が増加しています。

 農林水産省は、店舗まで500m以上かつ自動車の利用が困難な65歳以上の高齢者を「食料品アクセス困難人口」として、対策を講じています。店舗には、食肉、鮮魚、野菜・果実小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアが含まれます。

 農林水産省の2020年の推計結果によると、食料品アクセス困難人口は、全国で904万人だとされています。これは、65歳以上の人口の25.6%にあたります。また、904万人のうち566万人が75歳以上であると推計されています。

 飲食料品店の減少や大型商業施設立地の郊外化などにより、過疎地域のみならず、都市部においても買い物難民が増加しています。

 食品アクセス問題について農林水産省が2024年に実施したアンケート調査によると、質問に回答した1083市町村のうち、89.7%にあたる971市町村が「対策が必要」または「ある程度必要」と回答しています。

 また、971市町村のうち、70.6%の市町村が何らかの対策を実施しています。対策内容は都市規模に関わらず、「コミュニティバス・乗合タクシーの運行等に対する支援」「移動販売車の導入・運営に対する支援」などが多くなっています。

 食品アクセス総合対策事業として、政府は2025年度当初予算案に、1億2400万円を盛り込みました。

 この事業では、円滑な食品アクセスの確保に向けて、地域の関係者が連携して取り組む体制づくりや、現状・課題の調査などを支援します。また、相談窓口などを設置し、地域における課題解決のための取り組みを支援します。

 さらに、食品事業者からフードバンクなどへ寄附された未利用食品の取り扱い拡大に向け、専門家を派遣するなどのサポートをします。地域における食品アクセスの担い手となるフードバンクや、こども食堂の立上げなども支援します。

 また、持続可能な食品等流通対策事業として、政府は2025年度当初予算案に、1億2000万円を盛り込みました。

 この事業では、食品流通事業者などの関係者が取り組む買い物困難者の食品アクセス確保につながる取り組みや、ラストワンマイル配送などに必要な設備・機器の導入を支援します。