目次

  1. 未経験だった文具業界へ転身
  2. 叔父の死で急きょ事業承継
  3. 従業員から募ったアイデア
  4. 商品アイテム数が急増
  5. ネット戦略も従業員主体で
  6. 技術継承の課題も乗り越えて

 ツバメノートは1936年、渡邉さんの祖父が文房具の卸商として興した商店が前身で、1948年に紙製品メーカーとして創業しました。大学ノートなどほとんどの商品に、大手製紙会社と共同開発した用紙「ツバメ中性紙フールス」を使っています。

 渡邉さんは「うちのフールス紙は、紙を白くするための蛍光染料を入れないナチュラルな色味で、乱反射による目の疲れの軽減につながっています。罫線を水性インクで引いているので、線の上に書いても書き味が滑らか。丈夫で裏写りもしません」と話します。

書き味の滑らかさで多くのファンを持つツバメノート。表紙のデザインも特徴的です(ツバメノート提供)
書き味の滑らかさで多くのファンを持つツバメノート。表紙のデザインも特徴的です(ツバメノート提供)

 製本の大部分が手作業で、委託先の製本工場のほか、厚みのある製品は自社工場で作っています。主力のB5サイズの大学ノートは年間約15万冊を生産。全国の文具店や雑貨店などで扱われ、一部は輸出もしています。従業員は10人で運営しています。

ノートの製造工程(ツバメノート提供)
ノートの製造工程(ツバメノート提供)

 渡邉さんの叔父が先代で、父は別の仕事に就いていました。「幼少期は家業を継ぐ意識は全くなかった」という渡邉さんは専門学校を卒業後、大手運輸会社に就職。事務や内勤に従事しました。

 「丸の内エリアなどを任され、希望した職種ではなかったものの15年ほど働き、役職にも就きました。でも、大手は出世するといってもある程度の所まで。先が見えてしまったんです」

 渡邉さんは思い切って退職。転職先も決まっておらず「失業保険でしばらくつなごうと思っていました」。

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