目次

  1. ビーバーズとは
  2. 個人情報を不正取得したビーバーズの行為
  3. ビーバーズの行為に対する個人情報保護法上の問題点
  4. ビーバーズに対する個人情報保護委員会の対応

 ビーバーズの公式サイトによると、ビーバーズは「私たちの役割は、建設業界で働く方々が求める、より多様な幸せのかたちに応えること」を掲げ、建設業界専門の転職支援およびキャリアコンサルティング、建設技術者派遣、フリーランス支援サービス、高度外国人材紹介などを手がけています。

 個人情報保護委員会の公式サイトによると、ビーバーズは遅くとも2023年4月ごろから、以下のような方法で個人情報を取得していたと指摘しています。

  1. 建設現場に掲示されている法定標識や、公共工事の入札・落札情報検索サイトなどの公開情報から、建設会社で働く従業員の個人情報を入手
  2. 入手した情報をもとに、この建設会社に架空の事業者名を名乗って架電
  3. 「貴社の××工事の現場監督である〇〇さんから弊社に電話で問い合わせをいただき、折り返しの電話が欲しいとのことだった」、「貴社の工事現場の近くで別の工事をすることになったので、貴社の現場監督である〇〇さんに連絡したいことがある」など、虚偽の事実を伝え、建設会社の電話応答者を誘導し、現場監督者等の携帯電話番号を取得

 このようにして取得した1万人以上の個人情報(氏名・携帯電話番号)をデータベース化し、職業紹介や転職支援に利用していたといいます。

 個人情報保護法は「個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない」と規定されています。

 ビーバーズは、架空の事業者名を名乗り、虚偽の事実を伝えて電話応答者を誘導し、現場監督者等の携帯電話番号を取得していました。この行為が「偽りその他不正の手段」による個人情報の取得であり、個人情報保護法に違反すると個人情報保護委員会が認定しました。

 個人情報保護委員会は「本人にとっては、自己の個人情報が、違法な手段により、あずかり知らない他者に渡り、利用目的を知らされないままに利用される事態であり、実際に、ビーバーズから突然連絡を受け、自己が求めていない転職情報を伝えられて転職を勧められるなどしており、本人の権利利益に対する侵害が発生している」と指摘。

 事業部責任者の指示の下、組織的に行われていたにも関わらず、個人情報保護委員会が2024年2月に初めて聴取したときは不正な情報取得を行っていないと虚偽の報告をしたうえで、その後も不正な情報取得を継続していたといいます。

 さらにビーバーズは委員会が実施した報告等の求めに対しても、当初は過少報告を行ったといいます。これらの状況から、現在も不正な情報取得を行っている可能性や、これまでに取得した個人情報を消去せずに保管・利用している可能性があると判断したといいます。

 そこで、個人情報保護委員会は、ビーバーズに対して以下の勧告を行いました。

  • 個人情報保護法に違反して取得した個人情報を全て消去すること
  • 同種の違反行為の再発防止策を策定し、これを実施すること

 さらに、個人情報保護委員会は、勧告した事項の改善状況を確認するため、ビーバーズに対し、勧告以降に取得した個人情報の具体的な取得状況や再発防止策の実施状況などを2月28日までに報告するよう求めました。