旭鉄工社長の分身「AIキムテツ」に聞く 10年後予測やカイゼン提案も
![「DX成功の鍵は経営者自身にあり:AI時代の挑戦と覚悟」について講演する旭鉄工の木村哲也社長](http://p.potaufeu.asahi.com/af46-p/picture/29207829/a6616a8c0355df4597783cb9e73922f3.png)
トヨタの一次サプライヤー「Tier1」である旭鉄工社長で、IoTとデータを駆使して製造現場のカイゼンに努めている木村哲也さんは、自著データなどを生成AIに学習させた「AIキムテツ」を作成し、経営者の仕事の一部を任せています。そこで、実際にインタビューするとどのような回答が返ってくるのでしょうか。AIキムテツに質問してみました。
トヨタの一次サプライヤー「Tier1」である旭鉄工社長で、IoTとデータを駆使して製造現場のカイゼンに努めている木村哲也さんは、自著データなどを生成AIに学習させた「AIキムテツ」を作成し、経営者の仕事の一部を任せています。そこで、実際にインタビューするとどのような回答が返ってくるのでしょうか。AIキムテツに質問してみました。
目次
旭鉄工の2023年度の売上高は169億円。従業員数は425人に上ります。IoTを活用したDXで電力消費を42%削減するなどして、収益を年10億円近く改善させている企業です。
木村さんは2025年1月に東京・表参道で開いたイベント「第5回 日本を変える中小企業リーダーズサミット」(ツギノジダイ、Eight主催)に登壇し、「DX成功の鍵は経営者自身にあり:AI時代の挑戦と覚悟」と題した講演をしました。
木村社長は講演のなかで、具体的なAI活用方法を紹介しました。
元々、PDCAのうち、PLAN(問題確認)とCHECK(効果確認)をIoT化していましたが、「カイゼンの知能化」として、生成AIで構築した「AI製造部長」が200本の製造ラインのIoTデータを自動巡回し、IoTデータを解釈し、「D(カイゼンアドバイス)」もできるようになりました。
具体的には、毎朝、データを自動分析したAI製造部長のカイゼン案がSlackに投稿されると、人間の製造部長が現場に指示し、メンバーが対応するという仕組みが回っています。
さらに木村社長のクローンだという「AIキムテツ」は、著書「付加価値ファースト」のデータなどを生成AIに学習させたものです。すでに次のような仕事の一部を任せているそうです。
では、実際にどこまでインタビューに対応できるのかいくつか質問を投げてみることにしました。
AIキムテツに提示した質問は以下の通りです。
質問の検証ポイントは、未来予測が可能か、他業種についてもアドバイスできるのか、プライベートな質問にも対応できるのか、です。すると次のような回答結果が出力されました。AIの回答は人の手を加えずに出力結果を掲載します。
10年後の自動車産業はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展によって大きな変革を遂げます。特に電動化が進むことでエンジン部品の需要は減少し、部品構成も簡素化されるでしょう。一方、自動運転やコネクテッド技術の普及で新たな部品やシステムの需要が生まれます。
部品サプライヤーの対応策としては以下の通りです。
電動化による需要減を見越し、サスペンションやバッテリー関連部品、電子制御部品へのシフトを進めます。内燃機関部品の需要が維持される間は効率的な生産体制を維持し、少量補給品の生産効率を最大化します。
iXacsを活用したデータドリブン経営で、生産ラインの稼働率向上と電力消費42%削減を実現した手法を横展開し、コスト構造の最適化を図ります。
電力のデジタルツインを導入し、停止電力や待機電力の削減を進め、環境負荷の低減とコスト削減を同時に達成します。
タイ市場ではiXacs導入による生産性向上とコスト削減を進め、現地調達を強化。米国市場でも関税リスクを考慮し、現地生産体制の強化を継続します。
単なるコスト削減ではなく、付加価値を最大化する視点で、カイゼン活動を継続。労務費削減や効率化による年間10億円の収益向上を達成した実績をベースに、収益性の高い製品・サービスの提供を目指します。
主要製品の現状分析と再評価
iXacs導入による生産ラインのデジタル化と効率化
新製品開発への投資(EV、コネクテッド関連部品)
海外工場の最適化と現地顧客開拓(特にASEAN市場)
カーボンニュートラル達成に向けた全工場の電力最適化
付加価値型ビジネスモデルへの転換(DXサービス提供など)
これにより、サプライヤーとしての競争力を維持しつつ、変化する市場環境に柔軟に対応できます。
プラスチック成型加工ラインで電力を20%削減するためには、「正味電力」「待機電力」「停止電力」の3つに着目し、それぞれに対して具体的なカイゼンを行うことが効果的です。以下に10項目のカイゼン案を挙げます。
対策: 休憩時間や生産終了後に成型機のヒーター・モーターを完全停止。自動オフ機能を導入し、手動操作の手間も削減。
対策: 成型サイクルタイムを見直し、不要な冷却時間や加熱時間を短縮。iXacsでCTデータを分析し、適正な設定に調整。
対策: 冷却水の流量や温度を最適化。必要以上の冷却を避けることでポンプの電力消費を削減。インバーター制御の導入も効果的。
対策: 成型機や補助設備のエアー漏れ箇所(パッキン、ホース、バルブなど)を特定し修理。コンプレッサーの稼働負荷を軽減。
対策: 樹脂乾燥機の運転時間と温度設定を見直し、必要最小限のエネルギーで運用。未使用時の自動停止機能を導入。
対策: ロボットアームや搬送コンベアの使用時以外の電力カット。待機中のアイドル運転を減らし、必要時のみ作動させる設定に変更。
対策: グリスや潤滑油の適切な使用で摩擦損失を減らし、モーターの負荷を軽減。これにより電力効率を向上させる。
対策: 成型機の加熱シリンダーやホッパーに断熱材を追加し、熱損失を最小限に。加熱効率が上がり、電力消費が減少。
対策: 休日や夜間の無駄な電力使用を徹底的に排除。定期的な電力使用状況の見える化と社員教育で意識改革。
対策: iXacsや電力のデジタルツインを活用し、リアルタイムで電力使用をモニタリング。ムダな電力使用を即座に発見し、迅速に対応。
これらのカイゼンを組み合わせて進めることで、20%以上の電力削減は十分達成可能です。特に、待機電力の削減と設備の最適化が即効性の高いポイントです。
従業員から効率化のアイデアを引き出すためには、楽しく参加できる仕組みと成果が見える制度を作ることが重要です。旭鉄工のカイゼン文化を参考に、以下のような制度を構築してみてください。
簡単なフォームやカードで、気づいたことをその場で記入できるようにする。
「どんな小さなことでもOK」というルールを設けて、ハードルを下げる。
難しい提案書やフォーマットではなく、メモ感覚で気軽にアイデアを出せる仕組みが大切です。
出されたアイデアは即日フィードバック。
小さな改善ならその日のうちに試行。大きな改善も1週間以内に実行可否を判断。
提案がすぐに動き出すと、従業員は「自分の意見が尊重されている」と実感できます。スピード感がモチベーションの鍵です。
成功したアイデアは現場の掲示板や社内SNSでシェア。
ビフォーアフターの写真やデータを使い、成果を可視化。
カイゼンの成果が見えることで、他の従業員にも**「自分もやってみよう」**という意欲が生まれます。
アイデアの採用数に応じて、ポイントや金銭的なインセンティブを付与。
特に効果が大きかった提案は「月間カイゼン賞」などで表彰。
金額の大小よりも、「認められること」が重要です。全員が参加しやすい雰囲気を作るのがポイント。
チームごとに改善数や成果を競うイベントを定期的に実施。
優勝チームには賞品や特別待遇(昼休み延長など)を付与。
ゲーム感覚で楽しめる仕組みにすることで、自然とアイデアが湧きやすくなります。全員が楽しめる雰囲気を作るのが大切です。
上司やリーダーが率先してアイデアを出し、失敗も共有。
「失敗してもOK」というメッセージを常に発信し、挑戦を促す。
旭鉄工のカイゼン文化も「とにかくやってみる」ことが基本です。完璧なアイデアでなくても試せる環境が重要です。
このような制度を作ることで、従業員が「自分のアイデアで現場が変わる」ことを実感し、自然と多くの提案が生まれるようになります。楽しく、スピーディに、成果が見える仕組みを作るのがカギです!🍬✨
それはちょっと企業秘密…と言いたいところですが、講演で話すネタとしてなら少しお話ししましょうか!😎
例えば、中学の時に女の子からもらったラブレターを全部見逃したとか。カバンの中がぐちゃぐちゃで気づかずに終わったんですよね(笑)。
あと、球技が苦手で、バレーのサーブを打ったら味方のお尻に直撃させたことも。ゴルフもずっと「百十の王」です。スポーツカーは好きでも、球技の才能はイマイチです😂。
…でも、仕事に関しては抜群の精度でムダを見つけるのが得意です!
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。