荷待時間・荷役作業等の記録義務、2025年4月から全車両へ【記録票付】

荷待時間や荷役作業・附帯業務の「業務記録」への記録義務の対象が、令和7年(2025年)4月1日からすべての事業用トラックに拡大されます。国土交通省が「貨物自動車運送事業輸送安全規則」を改正しました。法改正の内容とその背景、事業者や荷主への影響について、国土交通省がまとめた資料をもとに解説します。
荷待時間や荷役作業・附帯業務の「業務記録」への記録義務の対象が、令和7年(2025年)4月1日からすべての事業用トラックに拡大されます。国土交通省が「貨物自動車運送事業輸送安全規則」を改正しました。法改正の内容とその背景、事業者や荷主への影響について、国土交通省がまとめた資料をもとに解説します。
改正貨物自動車運送事業法は2025年4月1日に施行されました。改正物流総合効率化法とあわせて、2024年問題に対応し、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的に見直すための改正です。
今回の荷待時間・荷役作業等の記録義務の対象拡大もその一環です。
国交省の公式サイトによれば、トラック輸送の課題として、トラック運転手の1運行当たりの平均拘束時間は依然として長く、その内訳を見ると、運転時間の次に長いのが、荷待ち時間や荷役時間です。
2020年度の調査と比較して2024年度の調査では、わずかに短縮しているものの、平均拘束時間は約11時間46分に及びます。特に、荷待ち時間は約1時間28分、荷役時間は約1時間34分と、依然として長時間労働の要因となっています。
そこで、国土交通省では、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」を改正し、業務記録における荷待時間・荷役作業等の記録義務の対象となる車両について、従来は「車両総重量8t以上または最大積載量5t以上の車両」とされていたものを、「全車両」へと拡大しました。
荷待時間・荷役作業等の記録義務の目的は大きく分けて2つあります。
一つは、貨物自動車運送事業者は自身の荷待時間・荷役時間を記録することで、待機時間料や積込料・取卸料などを荷主から適正に収受する根拠とすることができることです。
もう一つは、改正流通業務総合効率化法により、荷主に荷待・荷役時間の短縮の努力義務を課されることになりました。荷待・荷役時間を把握できない荷主については、貨物自動車運送事業者に確認を取ることも想定されるため、貨物自動車運送事業者においても自身の荷待・荷役時間を把握しておくことを求めています。
今回の改正により、業務記録への荷待時間・荷役作業等の記録義務は、車両総重量や最大積載量に関わらず、すべての事業用トラックに適用されます。
記載については従来と同様で、荷主との契約書に、実施した荷役作業等がすべて明記されている場合は、荷役作業等にかかった時間の合計が1時間以上となった場合が対象となります。
記録内容について荷主が確認したか、あるいは荷主の確認が得られなかったかについても記録対象となります。
荷待時間についても、従来と同様で、荷主都合により30分以上待機した時は記録対象となります。
記録表のサンプルは国交省の公式サイトからダウンロードできます。
荷待ち時間・荷役時間の短縮方法について、国交省は次のような取り組みを求めています。
トラックが一時に集中して到着することがないよう、トラック予約受付システムの導入や混雑時間を回避した日時指定等により、貨物の出荷・納品日時を分散させることができます。また、システムについては、実際に荷待ち時間の短縮につながるような効果的な活用を行うことを求めています。
荷役等時間の短縮方法としては以下のことを求めています。
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