――もともと会社経営には興味があったのでしょうか。

 まったく考えたことがありませんでした。地元・徳島県の工業高等専門学校を卒業後して上京したのですが、最初はただ田舎を出たい一心で。ライブハウスなどで音楽活動をしながら、原宿のカフェでアルバイトする生活を送っていました。バンドやアルバイトで出会った仲間は、一人また一人と卒業し就職するという道に進んでいくわけです。3~4年たって、音楽のプロになれそうもない自分に気づき、「そろそろ将来のことを真剣に考えなければいけないかな」と思うようになっていました。

 まずは就職先を見つけなければ、と未経験者向けの求人情報を探して、たまたま見つけたのがアプライドテクノロジーでした。フリーターのような生活を送ってきたので、名刺交換のやり方さえ知らない状態だったのですが「営業職の募集だし未経験可と書いてあるから、明るく元気にあいさつできれば大丈夫だろう」と応募したんです。今思えば楽観的でしたね(笑い)。

入社の決め手は「必要とされた」

――入社する決め手となったのは。

 当時はIT機器に興味があったわけではありません。一次面接は営業部長(現社長の喜田寿一さん)と会ったのですが、「若くて元気な子ですよ」と当時の社長(現会長で創業者の鎗水紀行さん)に推薦してくれたようでした。つい数日前まで髪を伸ばしてバンドをやっていて、営業どころか社会人としての経験もない私に対して、最終面接で「期待している」「ぜひうちに来てほしい」と前向きな言葉をかけてくれたことを覚えています。他にも何社か内定をいただいてはいたのですが、「必要とされていた」と強く感じたことが決め手になりました。

 入社後は、ほかの社員の3倍働くことを意識しました。何の経験もない私に期待し、採用してくださった現社長や現会長に恩返しをしたい、「採用してよかった」と思えるような人材になりたいとの一心でした。元が売れないバンドマンでしたから、努力次第で収入も上がることが新鮮だったし、やりがいも大きかったので。「これなら24時間、働いてもいいな」とさえ思うほどでした。

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