在宅勤務の非課税基準、国税庁が公表【業務利用の計算方法がわかる】
企業が在宅勤務をしている社員の通信費や電気代などを補助したとき、どこまでを非課税とするかについて定めたルールを公表しました。社員が払った通信費のうち、在宅勤務をした日数分の半額は実費とみなすとし、その根拠も示しました。ただし、対象となる社員一人ひとりの精算を確認するのはかなり負担が重くなりそうです。
企業が在宅勤務をしている社員の通信費や電気代などを補助したとき、どこまでを非課税とするかについて定めたルールを公表しました。社員が払った通信費のうち、在宅勤務をした日数分の半額は実費とみなすとし、その根拠も示しました。ただし、対象となる社員一人ひとりの精算を確認するのはかなり負担が重くなりそうです。
新型コロナをきっかけにテレワークが広がり、テレワーク中の社員が払うインターネット代などの通信費や光熱費などに対し「在宅勤務手当」を支給する企業が出ています。
実際に仕事で使った実費分だけを分けて計算できれば、その分を差し引いて所得税を課すことができます。しかし、たとえば、インターネットは業務と私的利用を分けて計算することが難しく、費用負担をめぐるトラブルが起きやすいと指摘されてきました。
そこで、国税庁は2021年1月、在宅勤務を行った社員の通信費について、所得税上の取り扱いのルールをまとめた「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」として公表しました。
FAQは国税庁が2020年(令和2年)12月1日現在の法令に基づいて作成しました。内容は次の7項目です。
このなかで、在宅勤務に必要な通信費と電気料金を精算する方法については企業が先に仮払いするか、従業員が精算するかの2通りを紹介していますが、いずれも業務負担分を「合理的に計算」するよう求めています。その合理的に計算する方法が以下の通りです。
電話料金の通話料は、通話明細書から業務のための通話に係る料金が確認できるので、分けることができます。ただし、基本使用料やインターネットの通信費と同様に以下の計算式で計算してもよいと説明しています。
社員が20日間在宅勤務し、1カ月に基本使用料や通信料を1万円負担した場合、この計算式にもとづくと3334円(1円未満切り上げ)を業務に用いたと計算できます。
ただし、社員が所有するスマートフォンの購入代金や業務のためではないスマホの補償料、音楽・動画などのサブスクリプションの利用料まで企業が負担すると、その分は課税対象になるので注意が必要です。
次の項目ではさらに具体例が示されています。従業員の所有するスマートフォンの料金4800円を企業が支給し、業務使用部分の計算をする場合を想定しています。金額はいずれも消費税込みの価格です。
この場合、通話料は課税の必要はありません。一方で、基本使用料やデータ通信料は、次の計算による3000 円分が課税対象です。
電気料金の基本料金や電気使用料についても、業務のために使用した分を合理的に計算する必要があるとして、次の計算式を紹介しています。
このFAQ(PDF形式:160KB)にもとづくと、在宅勤務の社員それぞれが通信費や電気料金の業務利用分を計算し、経理担当がチェックするという業務が発生し、社員それぞれの負担が重くなるおそれがあるので注意が必要です。
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