【2021年版税制優遇】中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制が延長
2021年度(令和3年度)の税制改正で、中小企業が設備投資をする場合の税制優遇となる中小企業経営強化税制と、中小企業投資促進税制の2年延長が決まりました。2022年度末までとなります。経営力向上計画の認定など必要な手続きのほか、制度の変更点を紹介します。
2021年度(令和3年度)の税制改正で、中小企業が設備投資をする場合の税制優遇となる中小企業経営強化税制と、中小企業投資促進税制の2年延長が決まりました。2022年度末までとなります。経営力向上計画の認定など必要な手続きのほか、制度の変更点を紹介します。
目次
中小企業が設備投資をするとき会計上、減価償却という形で処理するため少しずつしか経費として認められません。
そこで、政府は、設備投資の費用の全額を経費できる「即時償却」、または設備投資額の税負担を軽くする「税額控除」のいずれかを選べる形で、中小企業の生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透を目指しています。
中小企業の経営者が活用できるのは次の2つの制度です。
商業・サービス業・農林水産業活性化税制は、上記の2つに統合することが決まりました。
中小企業経営強化税制とは、一定の設備を取得した場合に、即時償却または取得価額の10%の税額控除(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)を選ぶことができます。ただし、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画にもとづいている必要があります。
上記の「一定の設備」とは、生産等設備を構成するものであることが要件です。ただし、事務用器具備品・本店・寄宿舎等に係る建物付属設備、福利厚生施設などは対象外です。また、国内への投資であることや中古資産・貸付資産でないことも要件に含まれます。
原則では、経営力向上計画の認定を受けてから設備を取得する必要があります。
例外として、設備を取得した後に経営力向上計画を申請する場合には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があります。
2021年度の税制改正で、たとえば、工業会の証明書の取得と同時並行で、計画認定に係る審査をするなど計画認定手続きが迅速化されることが決まりました。
2021年度の税制改正で、対象となる類型が増え、A~D類型の4つとなりました。
生産性が旧モデル比平均1%以上向上する設備が要件で、工業会などの確認が必要です。具体的な対象は次のようなものがあります。
投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備が要件で、経済産業局の確認が必要です。具体的な対象は次のようなものがあります。
遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備が要件で、経済産業局の確認が必要です。具体的な対象は次のようなものがあります。
修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備が要件です。2021年度税制改正で新たに追加されたもので、詳細は今後公表される予定です。
資本金または出資金が1億円以下の法人または常時使用する従業員数が1000人以下の中小企業者等で、中小企業等経営強化法の認定を受けた事業者が対象となります。
中小企業投資促進税制とは、中小企業の生産性向上を図るため、一定の設備投資をした場合に、特別償却(30%)又は税額控除(7%)のいずれかを選ぶことができます。ただし、税額控除は資本金3000万円以下の中小企業者等に限ります。
中小企業投資促進税制の場合は、中小企業等経営強化法の認定がなくても活用できます。2021年度税制改正で対象となる業種として、不動産業・物品賃貸業、商店街振興組合等が追加されました。
資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等といった中小企業者等や、従業員数1000人以下の個人事業主が対象となります。
対象となる業種は次の通りです。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、その他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)
一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶賃貸業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業。
ただし、性風俗関連特殊営業に該当するものは対象外です。
対象設備は次の通りです。
ソフトウェアについては、複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは対象外です。
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