「ビッグカツシリーズ」「岩下の新生姜」人気商品のデザイン変更の注意点
「ビッグカツシリーズ」や「岩下の新生姜」などロングセラー商品のパッケージが2021年9月から変わります。長年のファンに新しいパッケージを認知してもらうにはどうすればいいのでしょうか。「すぐる」と「岩下食品」の事例を紹介します。
「ビッグカツシリーズ」や「岩下の新生姜」などロングセラー商品のパッケージが2021年9月から変わります。長年のファンに新しいパッケージを認知してもらうにはどうすればいいのでしょうか。「すぐる」と「岩下食品」の事例を紹介します。
駄菓子の「ビッグカツ」で知られるすぐる(広島県呉市)は2021年9月1日から、シリーズ商品の「ビッグカツハムカツ風味4枚」「SDみそかつ」のパッケージデザインをリニューアルしました。
すぐるの後継ぎで、広報も担当している大塩和孝さんはリニューアルのきっかけを「SNSで、ハムカツやみそかつはビッグカツの会社が作っているって知らなかった、という投稿を見かけることがあり『もったいない』と感じることがよくありました」と明かします。
リニューアルする上で一番悩んだのが「消費者がビッグカツらしいと感じる要素は何だろう」という点でした。そこを外すと、デザインのリニューアルが失敗しかねないため、大塩さんは社内のメンバーと一緒に、30~40種類の駄菓子のパッケージを見比べていきますが、なかなか見つかりません。
そんなとき、市場調査をするなかで「ビッグカツといえばあのギザギザ」というファンの声を耳にしました。知り合いのイラストレーターからも「ビッグカツはギザギザがあるので描きやすい」という話も聞くことができました。
なるほどと納得した大塩さん。そこで、新しいパッケージはギザギザの「ボックスロゴ」のデザインで統一することに決めました。
「ブランドを統一にすることで、ビックカツだけでなくシリーズ商品も一緒に店舗に置いてもらえる可能性が高まるかもしれません。リニューアルをきっかけに営業も力を入れていこうと思います」と話しました。
岩下食品(栃木市)は、代表商品「岩下の新生姜」のパッケージを9月8日からリニューアルします。
1987年の発売以来続けてきた巾着袋の形から平袋にし、商品ロゴを10%拡大、さらに新生姜ミュージアムのジンジャー神社に飾られていた公式キャラクター「イワシカ」を新たにアイコンとして追加しました。
パッケージ変更の理由について、岩下和了社長は公式サイトで次のように説明しています。
20年以上に渡り、「岩下の新生姜」にデザインが酷似した他社類似品をお客様が誤認購入される被害に遭われているとの情報が、弊社にも伝えられてきました。とりわけ近年のSNSでは、被害に遭われたお客様からの情報が共有され、「私も間違えて購入したことがある」「紛らわしい」「対処してほしい」との声が日々届き、これほど多くのお客様が迷惑を被っているのかと改めて驚かされました。
「岩下の新生姜」のパッケージが変わります!(岩下食品公式サイトから)
岩下食品から類似商品を扱う会社に6度警告文を送りましたが、対応する様子はありません。一方で、Twitterで岩下の新生姜ファンからデザイン変更を提案されたこともあり、岩下社長は「苦渋の決断」でパッケージ変更を決めました。
とくに悩んだのは、1987年の発売開始以来変えずにブランド化していた「巾着型」の形でした。これまでファンから寄せられた新デザイン案もすべて巾着型でした。
しかし、巾着型ではせっかくパッケージを変更しても、新しいデザインがわかりづらくなってしまいます。悩んだ末に「間違って類似商品を買ってしまう人を減らす」という目的に立ち返り、平袋型に変えることを決めたといいます。
岩下食品が開設した「岩下の新生姜ミュージアム」からも巾着型のモニュメントを撤去する予定です。岩下社長は「残していてはノスタルジーが高まってしまいます。新しい時代に向けてきっぱり決別すべきだと考えました」と話します。
ただし、パッケージ変更には心配もあります。変更後しばらくは、巾着型の類似商品を間違って買ってしまう人が増えるかもしれません。
この心配に対し、岩下社長は「これからの岩下の新生姜のアイコンは、公式キャラクターのイワシカちゃんです。知名度をどんどん高めてもらい、巾着型を超える強いメッセージを出していく予定です」と答えました。
8月31日にZOZOマリンスタジアムで開催された千葉ロッテマリーンズの協賛試合イベント「岩下の新生姜スペシャルナイター」に登場させたり、テレビ取材のインタビューで岩下社長の後ろにさりげなく立たせたりと、いろんな機会に露出アップを図っています。
今後はパーカーや文房具など「イワシカちゃんグッズ」も展開する予定だそうです。
「これまでの新生姜が、長い間かけてファンに浸透していったように、同じぐらいの時間をかけて新しいデザインを浸透させていきたいと考えています」
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