目次

  1. 「本離れは致し方ないことだよね」
  2. 「娘を泥舟に乗せることはできない」
  3. 「枝里子が居なかったら新商品は形にならなかった」
  4. 子どもの絵を保管できる「えぽっけ」を開発
  5. 「家業を後世に残したい」

 東京都荒川区にある渡邉製本は、出版社から刊行される学術書・辞典・辞書などを中心にOEMを手がけてきた製本会社です。

製本会社「渡邉製本」の自宅兼工場

 枝里子さんの曽祖父である初代・渡邉由吉さんが10歳の頃、仙台から上京し丁稚奉公として製本の道に入り、終戦後、製本会社の不足により出版社から資金提供を受け1946年に創業しました。

1970年の集合写真の手前中央に立つのが「渡邉製本」初代渡邉由吉さん

 高度経済成長期、従業員は30人を抱えるまでに会社は成長しました。しかし、出版不況により同業者の数は低迷の一途を辿ります。

 全日本製本工業組合連合会によると、昭和50年代のピーク時には都内に1,400社あった製本会社が、現在は4分の1にまで減ったそうです。歯止めの掛からない状況に、渡邉製本の売上げも一時は、最盛期の4割減にまで落ち込んでしまいました。

 「最近は電車に乗っても、みんなスマホは見てるけど、本を読んでる人は1車両に1人か2人だもんね。それを見ても、本離れは致し方ないことだよね」

 枝里子さんの父であり3代目社長・渡邉浩一さん(65)は製本業界の行く末を案じています。

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