「オルコア」と名付けられた装置は医療機関向けで、縦横ともに18センチ、高さ20センチ。小さな炊飯器ほどの大きさで、重さ2キロと軽い。

オルコア(左)と検査キット。「オーラルのコア(中心・核心)」が名前の由来=ヤマトエスロン提供

 検査方法は、専用の歯間ブラシで歯垢(しこう)を採り、希釈液(1マイクロリットル)を容器に入れて装置にセットするだけ。45分で分析が完了。歯周病菌の親玉であるポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg)菌の量を推定し、数値で表示する。1千以上だと赤のLEDが光って警告する。

 従来の歯周病菌の検査は大型の装置で複数の菌を分析しており、歯科医院は外注に頼らざるを得なかった。結果が出るまで1週間以上かかり、患者が払う検査料もおおむね1万円以上と高額だった。

 オルコアは検出する菌を絞り込んで小型化とコストダウンを実現した。装置の価格は40万円。検査時の患者の負担は3千~5千円程度という。

 開発に着手したのは2013年。大学の協力も得て基礎研究などに6年を費やした。プロジェクトを担当し、現在は販売を担う子会社「オルコア」の社長を務める岡山保一さん(65)は、「最も苦労したのは、採取する歯垢を一定量に保つことだった」と振り返る。ブラシ作りの技術を生かし、毛の太さや、余計に採れた歯垢を除く部品の形を0.1ミリ単位で調整するなどして、課題をクリアした。

 発売から1年ちょっとだが、導入する歯科医院は全国に広がりつつある。歯科医からは「実感しにくい歯周病の状況が数値で示されるので、患者さんの理解が進む」「セルフケアの指導がしやすくなった」など、好意的な感想が多く寄せられているという。

 歯周病は脳卒中、糖尿病といった生活習慣病のリスク要因とされ、30代以上の3人に2人がかかっているといわれる。松永貴至副社長(47)は「歯科だけでなく一般の病院でもぜひ活用してもらいたい。遅れている医科と歯科の連携が進む一助になれば」と力を込める。

 松下俊治社長(68)も「医療分野は技術的にもセールス的にもハードルが高いが、焦点を絞って積極的に取り組んでいきたい」と話している。(2021年10月2日朝日新聞地域面掲載)

ヤマトエスロン

 1928年創業。八尾の地場産業である歯ブラシ生産の草分け。有名メーカーの食品・化粧品の容器などのOEMも幅広く手がける。従業員約700人。大阪、栃木、福岡、静岡に工場、台湾とタイに関連会社がある。2020年9月期の売上高は124億円。