中小企業への資金繰り支援、政府が延長へ 無利子・無担保融資は年度末まで
政府は2021年度補正予算案で、中小企業への資金繰り支援を延長する方針を明らかにしました。政府系金融機関の実質無利子・無担保融資が2021年度末まで延長するほか、資本性劣後ローンは2022年度も実施します。伴走支援型特別保証も上限を引き上げて、2022年度も続けられます。それぞれ詳しい条件を紹介します。自社にあった支援を活用してください。
政府は2021年度補正予算案で、中小企業への資金繰り支援を延長する方針を明らかにしました。政府系金融機関の実質無利子・無担保融資が2021年度末まで延長するほか、資本性劣後ローンは2022年度も実施します。伴走支援型特別保証も上限を引き上げて、2022年度も続けられます。それぞれ詳しい条件を紹介します。自社にあった支援を活用してください。
実質無利子・無担保融資とは、新型コロナの影響で売り上げが減った中小企業や個人事業者に、利子補給の制度を使うことで実質、無利子・無担保で融資する制度のことです。担保なしでの借入が可能だったり、状況に応じて複数回の利用もできたりします。
民間金融機関を通じた無利子融資が2020年度で終了しましたが、経営の立て直しに時間がかかる中小企業は多いため、これまでも延長されてきました。今回、さらに2021年末までとされていた期限がさらに延びました。具体的な要件は次のような形です。
対象者 | 新型コロナの影響で 売上が減少した中小企業(小規模個人▲5%、小規模法人▲15%/その他▲20%) |
開始時期 | 受付中(期間を今年度末まで延長) |
無利子上限 | 日本政策金融公庫(中小)3億円、(国民)6000 万円、商工組合中央金庫3億 円 |
無利子期間 | 当初3年間 |
貸付期間 | 運転資金15年以内、設備資金20年以内 |
据置期間 | 最大で5年 |
資本性劣後ローンとは、万が一、倒産した時にほかの負債より返済の順位が後回しになるため、金融機関からは自己資本とみなされるローンのことです。今回、2022年度も続けることが決まりました。
資本性劣後ローンは、資本とみなせるだけでなく、業績に応じて貸付利率が低くなり、期限一括返済のため返済の負担も抑えられるため、財務が安定し、ほかの金融機関からも融資が受けやすくなるというメリットがあります。
一方、償還期限の5年前までは残高の100%を資本とみなせますが、償還期限の5年未満になると1年ごと資本とみなせる額が20%ずつ減少しますので注意が必要です。また、元本については、期限一括償還です。
対象者 | 新型コロナの影響により、キャッシュフローが不足する企業や一時的に財務状況が悪化したため企業再建等に取り組む企業 |
開始時期 | 受付中(来年度も実施) |
融資上限 | 日本政策金融公庫(中小)10億円、(国民)7200万円 |
貸付期間 | 5年1カ月、7年 、10年 、15年 、20年 |
伴走支援型特別保証制度とは、いくつかの要件に合った中小企業が、コロナ禍を乗り越えるための「経営行動計画書」を作ったうえで、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げる制度のことです。
経営の立て直しに時間がかかる中小企業が少なくないなかで、一定の規律を設けた新たな支援策として2021年4月に始まりました。今回、融資上限を引き上げたうえで2022年度も続けることが決まりました。
対象者 | 新型コロナの影響で、売上が15%以上減少した中小企業で、金融機関の継続的な伴走支援を受けながら経営改善に取り組む者 |
開始時期 | 受付中( 来年度も実施) |
融資上限 | 6000 万円(4000 万円から引き上げ) |
保証料 | 原則0.2% |
保証期間 | 最大10年 |
据置期間 | 最大5年 |
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