目次

  1. DXとは わかりやすく言うと
  2. DXの検索動向
  3. DXの進め方
    1. オリジナルの在庫管理システムが新規事業へ
    2. DXに成功した手芸屋、ITコンサル事業を立ち上げ
    3. ITツール導入から始めないDXで業務を効率化

 DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。
経済産業省のレポートによれば、「企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、競争上の優位性を確保すること」と定義しています。

 ポイントをわかりやすく言うと、DXは、ビジネスをデジタル化するだけでなく、デジタル化で集めたデータを生かしてビジネスモデルから変革させるものです。

 Google上での「DX」の検索ボリュームの推移を分析すると、2019年ごろから増加傾向にあることが伺えます。ゲームソフト「ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX」が発売された2020年3月をのぞけば、1年のうちで最も「DX」が検索されるのが1月の第1週です。

 様々な会社の年頭所感などで盛り込まれる「DX」について、検索して調べようとしている検索行動が伺えます。2022年も、SBI損保Box Japan、NTT東日本など様々な会社の年頭所感に「DX」というキーワードが盛り込まれて発表されました。

 とはいえ、突然、会社の上層部が「DXを進めよ!」と号令を出しても現場は簡単には変えられません。日々の業務が忙しいなか、長年慣れ親しんだ進め方の方が効率良く動けますし、新しいツールの使い方を覚えなければいけない負担も重くのしかかります。

 「いちばんやさしいDXの教本」著者、進藤圭さんは「いきなりDXを目指さず、DXそっくりさんから始めましょう」と話します。具体的には次のような手順を進めています。

  1. いきなりDXを目指さない(仕事の流れを変えず小さな成果から)
  2. RPAからなしくずしデジタル化しよう
  3. ITで会社の強みを伸ばすのがDX

 それでも、まだ遠く感じられるのがビジネスモデルの変革です。そこで、進藤さんは「ビジネスモデルの変革は自社ができたものを売るのが早いです」と話します。

 つまり、自社のデジタル化を進めるなかで感じた課題を解決するITツールを開発し、それを同じ課題を抱える他社に販売する方法を提案しています。

 実際に自社のデジタル化をもとに事業化した事例を紹介します。

 福岡県鞍手町にある地域密着型の外壁塗装専門店「フクモト工業」は、塗料の残量をリアルタイムに把握できないことや、無駄な在庫を抱えがちなことに、長年頭を悩ませていました。

 そこで、社長は、オリジナルの在庫管理システムを開発することを考えました。これによって、自社の課題を解決したばかりか、開発したシステムを「らくらく塗装屋さん」と名づけて同業者に販売することで、売上アップも実現しました。

職人さんが塗料缶を持ち出すときに、自動計量している様子

 手芸用品の卸売りを手掛けるハマヤ(京都市)は、4代目がIT人材と一緒に、DXで労働時間を削減し、その経験を生かしてITコンサル事業を立ち上げました。その結果、利益率が大幅に高まりました。

ハマヤで構築した備品管理システム

 鳥取県の不動産「ウチダレック」は、業務効率化のためのDXを始めるにあたり、まずITツールを導入するのではなく、業務プロセスの分析から始めました。その結果、週休3日にすることに成功しました。開発したシステムを他社向けに販売しています。