目次

  1. まん延防止等重点措置とは 緊急事態宣言との違い
  2. 新型コロナ、なぜ再び感染急増?
  3. まん延防止等重点措置、いつからいつまで?
  4. これまでのまん延防止等重点措置からの変更点
    1. 知事の判断で酒類の提供を停止
    2. 「ワクチン・検査パッケージ」、一時停止へ
    3. 感染急拡大の地域で自宅療養認める
  5. イベント開催どうなる?
  6. GoToトラベル再開どうなる?
  7. 専門家がBCP(事業継続計画)の準備求める

 まん延防止等重点措置とは、新型コロナウイルス対応の特別措置法にもとづいて、地域の新型コロナの感染状況に応じて、緊急事態宣言よりも期間・区域、業態など制限の範囲を絞りやすいのが特徴です。

措置内容 まん延防止等重点措置 緊急事態宣言
対象地域 市区町村などに限定できる 都道府県
対象業種など 飲食店などに対象限定。営業の時短命令が可能 幅広く対象に。時短だけでなく休業命令も可能
命令違反の罰則 20万円以下の過料 30万円以下の過料

 政府資料によると、新型コロナの新規感染者が、年末年始にかけて急速に増えています。専門家などでつくる基本的対処方針分科会では急増の原因を次のように分析しています。

  1. ワクチン2回接種の感染予防効果の明確な減少(特にオミクロン株)
  2. オミクロン株の高い感染性・伝播性
  3. クリスマスから年末にかけての普段会わない人との接触機会の増加(飲み会・家族・職場・医療機関・高齢者施設で感染)

 オミクロン株は、新型コロナウイルスの変異株の一つで、国立感染症研究所は「海外での報告で示唆されている感染・伝播性の高さなどを考慮すると、国内においても感染例の急増につながることが懸念される」と報告しています。オミクロン株は、多くは軽症で済みますが、高齢者に感染が広がると重症者が生じる可能性もあります。

 こうしたなか、沖縄、山口、広島の3県の知事から政府に対し、重点措置を適用するよう要請がありました。3県で感染が拡大するおそれがあり、医療体制の逼迫するおそれがあることから2021年9月末の解除以来となる適用が決まりました。

 対象地域には東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県のほか、群馬、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の計13都県が加わりました。

 さらに北海道、青森、山形、福島、茨城、栃木、石川、長野、静岡、京都、大阪、兵庫、島根、岡山、福岡、佐賀、大分、鹿児島の18道府県も追加されました。

 重点措置の適用期間は地域によって異なります。

  • 沖縄、山口、広島の3県……2022年1月9日から2月20日(延長)
  • 東京都や愛知県など13都県……2022年1月21日から2月13日
  • 北海道、大阪府、福岡県など18道府県……2022年1月27日から2月20日

 政府は今回の適用で「基本的対処方針」を変更しているため、これまでの重点措置を比べ、3つの注意しておきたいポイントがあります。

 これまでの重点措置では、第三者認証を受けた店では営業時間の短縮要請をせず、酒類提供も可能でしたが、知事の判断で認証を受けた店でも酒類の提供停止を求められるようになりました。

 東京、群馬、埼玉、神奈川、新潟、愛知、三重、香川、熊本の9都県は感染対策を取る店が、営業時間と酒類を提供するかどうかを選択できるようになります。

 埼玉県以外の8都県は、認証店は酒類提供を終日停止し、営業時間を20時までとするか、酒類提供したうえで営業時間を21時までとするか、店が選択できるようにします。

 埼玉県は政府のワクチン・検査パッケージを知事の判断で適用し、酒類提供は県のパッケージ制度に登録した店に限って認め、21時までの時短は求めた上で酒類提供は20時半までとし、人数制限なしに緩和します。

 千葉県は選択肢は設けず、認証店は酒類提供したうえで、21時まで営業できるようにします。千葉県を含め10都県とも非認証店には終日酒類提供を停止し、営業時間を20時までにするよう求めます。

 岐阜、長崎、宮崎の3県は、認証店か非認証店かにかかわらず、20時までの時短を求め、酒類提供は終日停止を求めます。

 飲食店の利用、イベント参加、旅行では、ワクチン接種歴などで行動制限の緩和を可能にする「ワクチン・検査パッケージ制度」が活用されていました。ただし、ワクチン効果の低下などを理由に、ワクチン・検査パッケージ制度は早急に見直すべきだとの意見が専門家から出ています。

 そこで、岸田首相は1月18日夜、首相官邸で記者団に対し、「ワクチン・検査パッケージ」について、一時的に停止することを”原則”とすると表明しました。

 政府は都道府県に対し、在宅療養者への健康観察や訪問診療体制の準備状況の自己点検を実施するよう求めました。というのも、感染の急拡大が確認された地域では、陽性者を全員入院、濃厚接触者を全員宿泊施設待機としている取り組みを変更し、自治体の判断で宿泊・自宅療養も活用できるようになったからです。

 厚生労働省の公式サイトによると、具体的には、次の3つを整える必要があります。

  • 経口薬について、診断の当日ないし翌日での投与可能な体制を確保していること
  • 陽性判明当日ないし翌日に連絡をとり、健康観察やオンライン診療・訪問診療などができる体制が整っている
  • パルスオキシメーターを自宅療養開始当日ないし翌日に配布すること

 まん延防止等重点措置下でのイベントについて、都道府県から感染防止安全計画の確認を受ければ、上限2万人かつ収容率上限は100%まで認められます。

 それ以外は上限5000人で収容率上限は大声ありの場合50%、大声なしの場合100%となります。この場合は、都道府県が定める様式の感染防止策などを記載したチェックリストを主催者などが作成・公表する必要があります。

 GoToトラベルは早ければ 2022年の1月中旬ごろから、全国でトラベル事業が再開される見通しでしたが、新型コロナの感染拡大で再開時期は後ろ倒しになりそうです。

 岸田首相は2022年1月6日の記者会見で次のように話しています。

GoToトラベルについては、従来から申し上げているように、感染の状況を見ながら、適切な時期が来たならば再開、さらにはバージョンアップした形での再開、これを可能とするような準備は進めていきたいと思っています。

しかしながら、今の現状においては、まずはこの感染状況、大変な、全国的に感染拡大が報じられている状況でありますので、この状況に対してしっかり対応して、そして感染の状況を見極めた上で再開の時期等を考えるべきであり、今、具体的にいつから再開するなどということは言えるような状況ではないと思っています。

まん延防止等重点措置の適用の要請等についての会見(首相官邸サイト)

 今後の感染の急増を防ぐために、基本的対処方針分科会では、専門家から提言の資料も公表されました。

全国の新規感染者数と入院者数の推移(左)と今後求められる主な対策(朝日新聞デジタルから引用)

 企業に対しても、欠勤者が増えたBCP(事業継続計画)の準備を求めています。具体的には、欠勤者が増えた場合の業務の優先付けとテレワークを進めることが盛り込まれています。