水道メーターでSDGs 使用量の見える化、節水につながるか実証実験
水道代の請求書が届きます。料金のよりどころは、水をどれだけ使ったかを量る水道メーターです。そして、個人宅向けのメーター最大手が、大阪府柏原(かしわら)市にある「柏原(かしはら)計器工業」、略してカシケイ。国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて奮闘中です。(編集委員・中島隆)
水道代の請求書が届きます。料金のよりどころは、水をどれだけ使ったかを量る水道メーターです。そして、個人宅向けのメーター最大手が、大阪府柏原(かしわら)市にある「柏原(かしはら)計器工業」、略してカシケイ。国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて奮闘中です。(編集委員・中島隆)
たとえば水道メーターの寿命は8年ほど。内部の部品は傷みがくるので交換する。だが、鋳物でつくる外部は解体、洗浄することで再利用し、2倍、3倍と持たせることができる。
カシケイには、プラスチックの成形、鋳物、精密加工などの工場があり、メーターを一貫生産する。だからできる技だ。
資源をできるだけ無駄なく使う。これは、SDGsの12番目の「つくる責任つかう責任」に通じる。
水道メーターを毎月、検針員がチェックするのは大変だ。雪でも嵐でも行かねばならない。なぜなら、水道代は月決めだから。
そこでカシケイは1985年、メーターに電子部品を内蔵し、電波でコンピューターに使用量を飛ばす仕組みを、業界ではじめて開発した。今やメーターは電子機器のようになり、水の使用量は自動的に検針され、各地の水道局の担当者がもつ携帯情報端末で使用量などがチェックできるようになっている。
この春には、パナソニックと連携し、水道使用量を個人がネット検索できるようにすれば節水を促せるか、などの実験をする。請求書を見て「あちゃー、今月、使いすぎた~」と嘆かなくても済むようにしたい、という思いだ。
技術革新は、SDGsの9番目の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、14番目の「海の豊かさを守ろう」などに当てはまる。
空襲で焼け野原になった大阪。敗戦から2年後の1947年、水道で復興に貢献しようと設立されたのがカシケイだ。「メーターで社会課題を解決する、それは昔も今も変わりません」と3代目の三浦直人社長(54)。
従業員のモチベーション維持にも気を配る。総務部主任、杉田真依子さん(39)を中心に、仕事上の悩みをヒアリングしている。「本人の様子を見て配置転換もします」と杉田さん。これは、SDGsの8番目の「働きがいも経済成長も」に通じる。
水道メーターのメーカーにできるSDGsを未来のために。「そして、アイデアと研究開発で、『水の明日』を切り開きます」と三浦社長は話す。(2022年1月15日朝日新聞地域面掲載)
本社は大阪府柏原市。従業員およそ120人。本社近くや大阪府八尾市にも工場があるほか、千葉県市川市、横浜市に営業所がある。ものづくり技術、発明、ストップ温暖化に向けた取り組みなどで、さまざまな受賞歴がある。
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