目次

  1. 基本と実践を盛り込む
  2. デザイン経営の歴史
  3. 実践する経営者の声
  4. デザイン経営を動画で学ぶ
  5. デザイン経営がもたらす効果
  6. そっと取り出してもらえる存在に

 デザイン経営とは、経営の上流からデザインを採り入れ、企業価値を高めるためのイノベーションやブランディングにつなげる考え方になります。ロフトワークは中小企業のデザイン経営を支援し、様々なイベントなどで普及にも努めています。

 しかし、中小企業は大企業と比べてデザイン経営への知見が広がっているとは言えません。ロフトワークは今回、デザイン経営に興味がある中小企業の助けになるよう、基本と実践を盛り込んだ「デザイン経営GUIDEBOOK」をウェブで制作しました。

 ガイドブックの特徴は次の通りです。

 日本デザイン振興会の常務理事・矢島進二さんが、デザイン経営の歴史をガイドブックで振り返っています。

 産業革命当時の状況や、パナソニック創業者・松下幸之助から始まった企業内デザイン、アップル社によるデザイン思考などを時代に沿って紹介し、理解を深める内容です。

 デザイン経営を実践している経営者3人が、どのようにデザイナーと出会い、コミュニケーションを取っているのか、実体験を語っています。

 1952年に創業した山形県山辺町のニットメーカー・米富繊維社長の大江健さんは、デザイナーとのコミュニケーションについてガイドブックの中で次のように語っています。

 まずお任せして、自分と感性が違うなと感じても、なぜそのデザインにしたのか、考えを聞いてから感想なりコメントをするようにしている。また、お任せする時は細かいところはあえて指示せず、指示したい場合は依頼の段階で細かく指示するようにしている。

 ロフトワークは2020~21年、全国の中小企業30社のデザイン経営導入を支援するプログラム「Dcraft デザイン経営リーダーズゼミ」を開催しました。

 ガイドブックでは、Dcraft参加者がクリエーティブディレクターらから学んだデザイン経営のエッセンスが、動画で視聴できます。

 デザイン経営を導入した企業は、採用や売り上げ構成などにどんな変化があったのかをデータで紹介しています。

 前述した米富繊維は自社のファクトリーブランド「COOHEM」が評価され、山形県外の新卒応募者が急増。2012年は5人だった採用応募者が20年には20人になりました。

 このほか、従業員の女性比率や来客数を高めた企業のデータも紹介しています。

 ロフトワークは制作の狙いについて「ガイドブックが、デザイン経営を始める前や迷ったときに、胸ポケットからそっと取り出してもらえるような存在であることを願っています」としています。