経営者の1日の平均労働時間「10時間以上」が29% 大同生命調査
全国約8000社の中小企業経営者に対し、大同生命が実施したアンケートで、経営者の1日の平均労働時間が「10時間以上」と答えた割合が約29%に上りました。若い経営者ほど労働時間が長くなる傾向がありました。業務内容を詳しくみていくと「経営管理」に次いで、人事・経理など「事務作業」に時間が割かれており、従業員規模が大きい会社ほど、これらの割合が増える傾向にあることがわかりました。
全国約8000社の中小企業経営者に対し、大同生命が実施したアンケートで、経営者の1日の平均労働時間が「10時間以上」と答えた割合が約29%に上りました。若い経営者ほど労働時間が長くなる傾向がありました。業務内容を詳しくみていくと「経営管理」に次いで、人事・経理など「事務作業」に時間が割かれており、従業員規模が大きい会社ほど、これらの割合が増える傾向にあることがわかりました。
大同生命が2022年2月1~28日、全国の企業経営者8219社の経営者に対し、直接訪問またはオンライン面談で経営者の労働実態についてアンケートを実施しました。アンケートは毎月実施しており、調査の詳細は「大同生命サーベイ」で公表しています。
1日の平均労働時間を尋ねたところ、「約8時間」と答えた割合が最多の37%でした。しかし、「約10時間」も16%、「11時間以上」も13%おり、一部で長時間労働が常態化している回答が得られました。
具体的な割合は次の通りです。
6時間以下……8%
約7時間……11%
約8時間……37%
約9時間……14%
約10時間……16%
11時間以上……13%
1日の平均労働時間について、経営者の年代別に分類したところ、若いほど長時間労働となる傾向にあり、49歳以下では「約10時間」「11時間以上」と回答した割合が36%、50歳代でも35%に上りました。
アンケートの回答によれば、コロナ禍で一部の経営者の労働時間が長くなっており、その理由に「(従業員に任せられない)経営者自身が行う業務が増えた」や「人手不足」が挙がっていました。
中小企業庁が発行している「2018年版小規模企業白書」でも、経営者の1日労働時間を9~10時間とする回答が最も多く、全体平均は9時間26分となっていました。白書では「小規模事業者の人手不足への対応として『経営者の労働時間を増やし対応』しているとの回答が多い」と解説しています。
つぎに、大同生命が経営者の1日の業務内訳について尋ねました。具体的には1日の労働時間のうち、経営管理や事務作業、商品・サービスの製造など各項目の合計が100%となるように記入してもらいました。
それぞれを平均したところ「経営管理」が36%と最も高い割合を占めていました。ほかの回答割合は次の通りです。
事務作業(人事・経理など含む)……21%
商品・サービスの販売(営業・接客など含む)……19%
商品・サービスの製造(建築・運送など含む)……16%
商品・サービスの企画・販売……8%
従業員規模が大きくなるにつれ、「経営管理」が占める割合が高くなり、従業員21人以上の会社では「経営管理」と答えた割合が51%を占めました。ただし、会社が大きくなるほど、事務作業の負担も増す傾向にあり、従業員21人以上の会社では「事務作業」と答えた割合が25%に上りました。
アンケートでは、約61%が「削減したい業務がある」と回答しており、削減したい業務で最も回答が多かったのが「事務作業」でした。具体的な削減方法としては「IT化等による業務の効率化」や「人材育成(スキルの習得・多能工化)」を多く挙げていました。
業務削減で時間が確保できた場合に注力したいことについても尋ねました。すると「経営計画の策定・見直し」と「新規事業・新商品の検討」と回答した割合がいずれも25%を占め、最多でした。
次いで高かった回答割合を並べると下記の通りです。
人脈作り・情報収集……24%
従業員の育成・技能強化……20%
業務効率化(IT化・機械化の検討)……12%
各種免許などの技能・資格習得……5%
語学や財務会計等の知識習得……4%
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