目次

  1. 客数の多い店が減少、配達に活路
  2. 小売の売上高日本一は三越→ダイエー→セブン
  3. セブンの宅配、2024年度2万店に拡大へ
  4. リアルタイムで在庫を表示、欠品なし
  5. ローソンは「ゴーストレストラン」に参入
  6. 8000店のキッチン設備、大きな成長余地

 客数は店の成長を示す大切な指標です。売上は客数×客単価で決まり、客数は自店の商圏人口と来店頻度に左右されます。コンビニはいま、その客数が増えない厳しい現実に直面しています。

 コンビニ大手3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)の2022年2月末時点の店舗数は5万2552店。前年同期比263店(0.5%)増にとどまりました。一方、東日本大震災後の数年間は店舗数が大きく伸びた時期として知られます。例えば2013年2月末は3万5683店で、前年同期比2414店舗(7.3%)増で、現在との差は歴然です。

山形県白鷹町で、公設民営コンビニの完成を祝いテープカットする町長ら(2020年、朝日新聞社)

 店舗数が伸び悩む主な原因は客数です。チェーン本部は通常、A店の客数がチェーンの平均を大きく上回る場合、近隣にB店を出店して高密度な商勢圏(ドミナント)を築きます。1店舗当たりの客数と全体の店舗数を同時に増やし、市場規模の拡大を図ります。しかし近年、牽引(けんいん)役となる客数の多い店舗が減っているのです。

 客数を伸ばすため、チェーン本部は過去数十年で様々なサービスを導入しました。宅配便や銀行ATM、公共料金の収納代行などです。自店の商圏内の人が物販以外の目的で足を運んでくれるサービスを増やし、客数増に努めてきました。

 そんな努力は続けつつ、客数を増やすためコンビニが新たに取り組むのが配達サービスです。来店してくれない客に、店の商品を届けます。ITを活用しながら外部事業者と協業し、商圏の客にアプローチする新たな仕組みを構築しようとしています。

 コンビニが日本に登場する前、大手小売業にとって「客」とは広域から集める対象でした。県庁所在地には百貨店があり、季節の衣料品や住関連商品の販売、お中元やお歳暮の発送などのため、県内全域から集客を図りました。

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