リファラル採用とは?メリットやよくあるトラブル、運用のコツを解説
最近導入企業が増えているリファラル採用について検討してみたいと考えているなら、メリットだけではなくデメリットとなるトラブルについて、また負担軽減のための仕組みやコストについても把握しておきましょう。はじめてリファラル採用を導入する中堅・中小企業が知っておくべき基礎知識を紹介します。
最近導入企業が増えているリファラル採用について検討してみたいと考えているなら、メリットだけではなくデメリットとなるトラブルについて、また負担軽減のための仕組みやコストについても把握しておきましょう。はじめてリファラル採用を導入する中堅・中小企業が知っておくべき基礎知識を紹介します。
目次
リファラル採用とは、社員やアルバイトスタッフなどを含む自社の人材を通じて、その友人・知人に「求人情報」を届け、応募を促すことを広報手段とする採用手法です。
リファラル(Referral)は「紹介・推薦」という意味の英語で、この採用方法は、もともとはGoogleなど米国のIT系企業が積極的に導入していました。
日本では2015年頃からIT系ベンチャー企業が取り入れはじめ、ここ数年で企業規模や職種に関わらず「有効な採用手法」として認知が広まっています。
まずは「なぜ今リファラル採用が注目されているか」「従来の縁故採用との違いは何か」という点から確認しましょう。
リファラル採用が注目される大きな理由のひとつは「人手不足(=求める人材が採用できない)」です。主要な原因には、「求める人材が顕在的な転職マーケットにいない・少ない」「自社の提示する雇用条件や仕事の魅力を伝える手段がない」ことがあります。
新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に過剰感が出た業種があったものの、従業員が「過剰」と答えた中小企業よりも「不足」と答えた中小企業の割合は、全ての業種で上回っています(参照:令和3年度(2021 年度)の中小企業の動向 p.40│中小企業庁)。
言い換えれば、昨今は、従来の採用広報手法だけでは質も数も充足できない環境にあるのです。そこで、少しでも採用可能性をあげることができる手法として、企業規模や地域、業種や職種、採用予算などに限らず、すべての企業が導入できるリファラル採用が注目されている、というわけです。
リファラル採用について、最も多くの質問として上がるのが「縁故採用との違い」です。
縁故採用も同じ「紹介」をもとにした採用ですが、前提として経営陣や取引先など、会社にとって「上の立場」から紹介されること、紹介される人物が必ずしも「自社が求める人物像」にフィットしているとは限らないことが、リファラル採用と大きく異なります。
また、縁故採用の場合、応募者のスキルや経験と合否に関連性はないことも珍しくないため「マイナスイメージ」を持つ方も多いでしょう。リファラル採用の場合、あくまで紹介は「応募の窓口、きっかけ」であり、選考そのものは通常の中途採用選考と同じ手続きを踏みます。
それでは、リファラル採用導入のメリットについて、改めて確認しましょう。
実際に仕事に取り組む社員が、直接仕事内容や社風、また通常は確認しにくい給与や休日、福利厚生まで直接紹介し、納得のうえ応募につなげるため、入社後のミスマッチの可能性が大幅に低くなります。
転職サイトを活用したり人材募集広告を長期間出稿したりするなど、従来の手法を中心に採用活動に取り組んできた企業の場合、採用の中心をリファラルに代替することによって、採用コストが大幅に削減できる可能性があります。
転職サイトにしてもハローワークにしても、前向きに「転職を希望している方」が登録・利用するのが基本です。「良い会社があれば転職を考えなくもないけれど、今の会社に大きな不満があるわけでもなく、日々忙しくしているので実際に行動に移す可能性は低い」というほとんどの人材のなかに「自社が求める人物」がたくさん含まれることは大いに期待できます。
リファラル採用では、紹介する社員自身に対して、自社の紹介をするために改めて会社の企業理念やこれからの事業展開についてのレクチャーをしたり、自身のこれまでの仕事について振り返ってもらったりする機会を設けることもあります。それによって、紹介する社員自身が会社に対してのロイヤリティーを高め、仕事へのモチベーションを向上させるきっかけになることも珍しくありません。
たくさんのメリットがある一方、安易なリファラル採用で大きなトラブルを引き起こす事例も出ています。
事例1 |
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リファラル採用を「縁故採用」と誤解してしまったことで、社員が友人に「今なら入社できるみたいだけど、応募する?」といった安易な伝え方をし、選考で不採用になったことで紹介者である社員と友人の関係が悪くなった |
リファラル採用では、人間関係トラブルに発展し、社員の会社に対する信頼度を損なう可能性があります。応募者に対しての配慮と同時に、紹介者である社員へのケアも必要です。
事例2 |
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採用コスト削減のため、部署ごとにひとりのノルマを課して全社でリファラル採用に切り替えた。それなりの応募数を期待していたが、ほとんど紹介者がでることがなく、採用がほぼできていないという結果になった |
単に制度を設ければ社員が自発的に周囲に声がけをするとは限りません。今までの採用手法も併用しつつ、自社に合うスタイルの採用手法か見極める期間が必要となります。
事例3 |
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リファラル採用導入で、採用成功の際に紹介した社員にインセンティブを設定したところ、積極的に知人に紹介し多額の報酬を獲得する社員が出た。しかし、それを良く思わない社員も多数おり、リファラル採用で入社してきた中途社員とも溝ができてしまった |
リファラル採用にインセンティブ制度を導入する際に、特に陥りがちなケースです。インセンティブ制度には別の注意点もあります。詳しくは次の「リファラル採用にかかるコスト」の項目で確認してください。
リファラル採用は、従来の採用方法と異なり、費用がかかりにくいメリットがあります。では、具体的にどんなコストがかかるでしょうか。リファラル採用を成功させるために必要な経費について確認しましょう。
リファラル採用を導入するにあたっては、企業規模や採用人数を問わず、次のことを意識するといいでしょう。
リファラル採用を導入する際は、まず人事部だけ、管理職だけなど、ある程度質問対応がスムーズにできる一部のメンバーで小さく実験するところからはじめてみましょう。どんな質問が来るのか、どんなフローで進めるべきかあいまいなままでは、紹介してくれた社員にもその友人・知人にも会社へのマイナスイメージがついてしまいます。
リファラル採用では、とくに不採用になった際に、紹介した社員とその友人の関係が悪くなりがちです。
仮に社員が「採用選考は通常の基準と同じだし、自分の推薦の影響は一切ない」ということを友人にきちんと伝えていたとしても、実際に不採用になればあとでぎくしゃくする可能性はゼロではありません。
そのため、紹介者となる社員に対して、「もし友人に話をするなら『応募したかどうかは、紹介者には一切知らされないことになっているから、もしこの先転職したいタイミングがあれば、思い出してほしい。もしも応募してくれても、それは私には知らされないから安心して』とあらかじめ話しておくように」と事前に伝えておきましょう。
リファラル採用で「不採用」の場合の人間関係への配慮がきちんと設計されていることは、最低限必要な項目です。
「リファラル採用をスタートするにあたって、どんな個人情報管理をするのが望ましいかイメージがわかないので他社のやり方をしりたい」「社員と情報を随時共有したい」「広報用ツールとうまく連動させたい」
こんな要望があるなら、リファラル採用専用管理ツール導入を検討するとよいでしょう。月額制で利用できるツールもあるため、実験的に導入して自社に合ったやり方を学ぶことができます。
筆者のおすすめは、2015年に国内初リファラル採用ツールサービスとしてリリースされ実績多数の「MyRefer(株式会社MyRefer)」、LINEを活用することで社員も紹介者も利用しやすい「リファ楽(オンサイト株式会社)」です。
リファラル採用は地域、企業規模、業種、職種、採用予算などあらゆる「前提条件」に関係なく、すべての会社が導入を検討できる採用手法です。
しかしその一方、使い方を間違えてしまうと、採用の失敗だけでなく企業イメージや従業員満足度を損なうリスクもあります。
リファラル採用の成否を分けるのは、長い目で見て制度を社員全体に定着させる意識をもって取り組み、将来的には「リファラルで採用選考を受けたいから、紹介してほしい」と友人・知人から社員に声がかかるような流れをつくれるかどうかです。
たとえば、日本で早くからリファラル採用を実施しているアクセンチュア日本法人や富士通では、採用ホームページ内にリファラル採用について情報公開し、希望者の方から社員に声をかけてもらう仕組みを作っています。
リファラル採用を通じて、社員と応募者双方のロイヤリティーを高めるよう、制度設計に取り組んでみてはいかがでしょうか。
安定的に長く続く会社を作り上げていくためには、後継者はもちろん、一緒に会社を盛り上げていく社員が欠かせません。会社存続・成長のキーマンとなってくれるような転職者採用を成功させるためのノウハウを採用コンサルタントがお伝えします。
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