目次

  1. リブランディングのきっかけ
  2. 競合店と勘違いされる
  3. コンセプトがブランドの第一歩
  4. 次世代リーダーとワークショップ
  5. マーケティングとの違いは
  6. 経営戦略としてのブランディング
  7. サツドラの文化が差異化に
  8. ロゴマークの色合いを一新
  9. コンセプトやロゴマークは資産
  10. 創業者に納得してもらうには
  11. ファミリービジネスが推進力に

西澤明洋さん

エイトブランディングデザイン代表

1976年、滋賀県生まれ。大手電機メーカーのインハウスデザイナーから独立。「ブランディングデザインで日本を元気にする」というコンセプトのもと、企業のブランド、商品、店舗開発など幅広いデザインを手がけている。「フォーカスRPCD®」という独自手法でリサーチからプランニング、コンセプト開発まで一貫性のあるブランディングデザインを強みとする。主な仕事にクラフトビール「COEDO」、抹茶カフェ「nana’s green tea」、スキンケア「ユースキン」、ヤマサ醤油「まる生ぽん酢」、ブランド買取「なんぼや」、手織りじゅうたん「山形緞通」など。著書に「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル)などがあり、特集雑誌「デザインノート『西澤明洋の成功するブランディングデザイン』」(誠文堂新光社)も発刊した。

 1972年創業のサツドラは、創業者の息子で2代目の富山浩樹さんが2015年に社長に就任。事業承継のタイミングで社名を「サッポロドラッグストアー」から「サツドラ」に変更しました。

サツドラの旧ロゴ(左)と新ロゴ(右)

 西澤さんとリブランディングに取り組み、「北海道の『いつも』を楽しく」という新しいコンセプトを掲げ、ロゴマークも刷新。店舗も順次リニューアルを進め、プライベートブランド(PB)の商品構成やネーミング、パッケージデザインなどを見直しました。

サツドラ2代目社長の富山浩樹さん

 富山さんがリブランディングについて考えるようになったのは、ユニ・チャームの高原豪久社長との交流がきっかけでした。2001年に39歳で経営トップに立っている高原社長からは「何歳で後を継いでも経験不足と言われる。事業承継は早いほうがいい」とアドバイスされたといいます。

 その中でユニ・チャームが進めたコーポレート・アイデンティティー(CI)の刷新に影響を受けました。「それから私も事業承継を真剣に考えるようになり、CIの勉強も始めました」

 リブランディングに向けて動きだしたのは、事業承継の4年ほど前からです。当時、富山さんは後継ぎとして大きな経営課題を感じていました。

サツドラのプライベートブランド「超炭酸水」

 課題のひとつは、競合店との差異化でした。赤を基調としたロゴの色合いなどが似通い、チラシを見て競合店と勘違いして来店したり、レジで競合店のポイントカードを差し出したりする来店客は、珍しくなかったといいます。

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