「事業承継したい」の回答割合、最低の53% 経営環境の悪化が影響か
全国8871社の中小企業経営者に対し、大同生命が実施したアンケートで、事業承継の意向について尋ねたところ「事業承継したい」と回答した割合が53%と、2019年の調査開始以来最も低くなりました。事業承継を考えなければいけない時期にきているのに検討できていない理由として「後継者が見つからない」「会社や業界の将来見通しが立たない」という回答が目立ちました。
全国8871社の中小企業経営者に対し、大同生命が実施したアンケートで、事業承継の意向について尋ねたところ「事業承継したい」と回答した割合が53%と、2019年の調査開始以来最も低くなりました。事業承継を考えなければいけない時期にきているのに検討できていない理由として「後継者が見つからない」「会社や業界の将来見通しが立たない」という回答が目立ちました。
大同生命が2023年6月1~28日、全国の企業経営者8871社の経営者に対し、直接訪問またはオンライン面談で経営者の労働実態についてアンケートを実施しました。アンケートは毎年、大同生命が無作為に抽出して調査を実施、継続回答は約2割ほどだといいます。
アンケートの詳細は、大同生命サーベイのサイトで公表しています。
事業承継の意向について尋ねたところ、候補者の有無にかかわらず、また、M&Aや事業譲渡も含めて「事業承継したい」と回答した割合が53%にとどまりました。「事業譲渡したい」という回答割合は2019年の調査開始以来、年々減少傾向にあります。
帝国データバンクが毎年実施している調査では、2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%で、調査開始の2011年以来、初めて60%を下回りました。親族内承継の割合が低下する一方で、M&A・従業員承継が進みつつある傾向も見えてきました。
その一方で、コロナ禍の影響か、前年まで後継者がいたにも関わらず、2022年になって「(事業承継の)計画中止・取りやめ」が約1600社(0.6%)と拡大している傾向も見えてきたといいます。
大同生命サーベイで「事業承継したい」の回答割合が下がっているのはこうした事情も影響している可能性があります。
大同生命サーベイで、事業承継の課題について尋ねると、「事業承継したい」と回答した企業経営者と比べて「廃業したい」「未検討(検討時期ではない・考えるべき時期だが未検討)」と回答した企業経営者は、「後継者の選定・確保」や「事業や業界の将来性」を挙げる割合が高くなっていました。
調査のなかで回答した企業経営者から次のような声が寄せられました。
光熱費や原材料の高騰に加え、最低賃金の改定、時間外労働規制などの制度・法改正に対応しながら事業を継続できるのか、不安を抱く事業者は少なくありません。
まずは、取引先とコスト高に見合う価格交渉に臨むことが必要です。中小企業庁は、下請中小企業の価格交渉・価格転嫁を後押しするため、全国のよろず支援拠点に相談窓口を設置しました。
あわせて販路を拡大できないか新規取引先の開拓も欠かせません。展示会を活用するほか、既存商品でもパッケージやカテゴリーを変えることでこれまでとは別ジャンルでの販路を作れないか検討してみてください。
さらに、法律や制度改正に対応するための支援制度などがないか、商工会議所などの相談窓口を活用するのもよいでしょう。
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