有資格者のアスベスト事前調査、10月から建築物の解体・改修工事で義務化
大気汚染防止法が改正され、2023年10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事は、有資格者がアスベスト(石綿)の有無の事前調査をすることが義務付けられます。どんな工事が有資格者による事前調査を必要とするのか、工事の種類ごとに必要な資格について整理しました。
大気汚染防止法が改正され、2023年10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事は、有資格者がアスベスト(石綿)の有無の事前調査をすることが義務付けられます。どんな工事が有資格者による事前調査を必要とするのか、工事の種類ごとに必要な資格について整理しました。
アスベストの事前調査とは、アスベスト含有建材が使用されているか否かを確認するための調査であり、設計図書などの書面調査と現地での目視調査の両方を行う必要があります。
厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトによると、建材等に広く使用されてきたアスベストは、肺がんや中皮腫などの原因となるため、アスベストの事前調査は、労働者の健康を守るためにも必要な作業です。
2021年4月から、事前調査の結果の記録を作成して3年間保存するとともに、作業場所に備え付け、概要を労働者に見やすい箇所に掲示することが必要になりました。
さらに、2022年4月からは、解体工事の場合は解体部分の延べ床面積80平方メートル、改修工事の場合は請負金額が100万円以上の解体・改修工事の場合、事前調査の結果を労働基準監督署に電子システムで報告することも必要になりました。
事前調査自体は、2023年9月30日以前でも必要です。10月1日からは建築物の解体・改修工事について、書面調査、目視調査のみでも、有資格者による調査が必要です。
環境省によると、解体工事のほか、建築物の模様替え・修繕等の改修工事、建築設備の取り付け・取外し・修理などの工事も含まれるといいます。
一方で、解体等工事を行う建築物が2006年9月1日以後に設置の工事に着手したことが書面により明らかである場合は、資格者などによる調査を行う必要はありません。
厚労省によると、10月1日着工の建築物の解体などの工事から、「建築物石綿含有建材調査者」、または2023年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者による事前調査をする必要があります。
そのため、建築物(建築設備を含む)の解体・改修工事を行う事業者や事前調査を請け負う事業者は計画的に資格者の育成を進める必要があります。講習修了者はすでに11万人を超えています。
資格によって調査できる建築物が異なります。建築物石綿含有建材調査者の種類は以下の通りです。
一般建築物石綿含有建材調査者に係る講習を修了した者で、すべての建築物の調査を行う資格
一戸建て住宅および共同住宅の内部に限った調査(共有部分は除く)を行う資格
一般建築物石綿含有建材調査者の講習内容に加えて、実地研修や、口述試験を追加したもので、すべての建築物の調査を行う資格
資格講習の登録機関は、全国各地にあり、8月1日時点で121機関に上ります。詳細は、厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトに掲載されています。
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